フィールド日記
2011.08.06
井坂洋子の「存在が語る」とダイミョウセセリの幼虫
平成23年8月6日 土曜日
詩人の井坂洋子さんの「存在が語る」というエッセイを読み、次のような一節に出会いました。
植物が優しく思えたり、犬や猫をはじめ動物たちがあわれでいじらしく思えたりするのは年齢のせいだろうか。存在そのものが何かを語っている者の方が、言葉で語る者より、胸にぐっとくるのである。
不二聖心にも、その営みにいじらしさを感じる生き物がたくさんいます。
今日はその中からダイミョウセセリの幼虫を紹介します。
今の季節、野外で植物を観察していると、下の写真のように一部分がめくれている葉をよく見かけます。
ぜひ一度、その葉をそっと裏返してみてください。
するとそこには一匹の小さな虫が隠れています。7月23日の「フィールド日記」で紹介した
ダイミョウセセリの幼虫です。こんな小さな体で既に自分の身を隠すすべを体得しているのです。
この小さな命が無言で語りかけるものも決して少なくないように感じます。