フィールド日記
2013.10.06
ヒノキの球果とツヤアオカメムシの終齢幼虫

2013.10.06 Sunday
「共生の森」の近くでヒノキの球果の汁を吸うツヤアオカメムシの終齢幼虫を見つけました。学研の『日本産幼虫図鑑』では、「ツヤアオカメムシの幼虫はスギ やヒノキの球果に依存するようである」と書かれていますが、この画像は幼虫が明らかにヒノキの球果に依存していることを示しています。
カメムシが大量発生することを多くの人は嫌いますが、拡大造林政策によってたくさんのスギ・ヒノキを植えたことで結果的に何種かのカメムシの増加を招いた事実を私たちは忘れてはなりません。
今日のことば
その思想がたとえ高潔なものであっても、人間の最終目標は思想ではなくて行動である。 トマス・カーライル
2013.10.05
イラガの繭

2013.10.05 Saturday
「共生の森」で成虫が羽化したあとのイラガの繭を見つけました。イラガの蛹はタナゴ釣りで最高級の餌として使われます。写真の繭は、ほぼ白一色ですが、多くはさまざまな模様がついています。今森光彦の『昆虫記』(福音館書店)の148ページには、たくさんの美しいイラガの繭の写真が載っています。
今日のことば
人は思ったことがないものには決してなれない。多くの人は「どうせ自分はなれない」と早い段階であきらめてしまうことが多く、そういう人は出世などおぼつかない。
佐々木常夫
2013.10.04
赤と白のゲンノショウコ 合体したコブシとホオノキ
2013.10.04 Friday
今日はすすき野原とキャンプ場でゲンノショウコの花を観察することができました。ゲンノショウコは西日本に紅紫の花が多く東日本に白紫の花が多いと言われますが、すすき野原は紅紫でした。

キャンプ場は白紫でした。これは不二聖心の位置が東西日本の中心付近に位置していることと関係があるかもしれません。

キャンプ場にはコブシとホオノキが一本になった珍しい木があります。

コブシはコブシで実をつけていました。

ホオノキはホオノキで実を落としていました。

コブシもホオノキも同じモクレン科モクレン属ですので相性は悪くないのかもしれません。
今日のことば
人間は自然によって生かされてきた。古代でも中世でも自然こそ神々であるとした。このことは、少しも誤っていないのである。歴史の中の人々は、自然をおそれ、その力をあがめ、自分たちの上にあるものとして身をつつしんできた。
この態度は、近代や現代に入って少しゆらいだ。
--人間こそ、いちばんえらい存在だ。
という、思いあがった考えが頭をもたげた。二十世紀という現代は、ある意味では、自然へのおそれがうすくなった時代といっていい。
司馬遼太郎
2013.10.02
宮川早生 ツチイナゴ スッポンタケ
2013.10.02 Wednesday
「共生の森」の宮川早生(温州みかん)がオレンジ色に色づきました。宮川早生は、1910年頃に福岡県山門郡城内村(現柳川市)の宮川謙吉邸で発見されたみかんで、温州みかんの代表的品種です。

葉の上には成虫になりたてのツチイナゴがとまっていました。この個体は成虫のまま厳しい冬を越していきます。

今年は「共生の森」周辺のスッポンタケの幼菌が昨年にくらべてはるかに多く発生しています。原因はよくわかりませんが、何らかの生育環境の変化が影響しているものと思われます。


今日のことば
およそ人は自分の望みを勝手に信じてしまう。 カエサル
2013.09.30
ムラサキシキブの実 ジョロウグモの夫婦
2013.09.30 Monday
不二聖心のフィールドもだいぶ秋らしくなってきました。
高校校舎から職員室に向かう階段近くの植え込みのムラサキシキブはたくさんの実をつけています。ムラサキシキブには「日本の美しい実」という意味を持つ学名が付けられています。命名者はこの紫の実に最高の美を見たのだと思います。

すすき野原では、夏の間、大きな網をはっていたコガネグモが姿を消し、ジョロウグモが目立ち始めました。画像のジョロウグモは大きい方がメスで小さい方がオスです。秋の終わりにはメスがオスを食べてしまうと言われています。

今日のことば
高校3年生の短歌より
絶対にこの手で合格掴んでみせる机と闘う高3の夏
あとわずか残された時間にやることは悔いを残さぬ高校生活
暑すぎる体温よりも高気温 恒温動物絶滅しそう
漆黒の空に一輪咲きほこる花を見上げて夏を感じる
秋の日とともに近づく旅立ちに憂うる間もなし時は時に酷
以前より色の濃い青白いうろこ見上げればもう秋を感じる
2013.09.28
すすき野原のウスバキトンボ すすきで作られたバッタ
2013.09.28
昨日から長袖を着ている人が急に目立つようになりました。朝晩は肌寒いほどで、すすき野原のイロハモミジの葉も色づき始めました。

すすき野原のアザミの葉にウスバキトンボがとまったままじっとしていました。南の地方から世代交代を繰り返して北を目指すウスバキトンボは寒さに弱いトンボとして知られています。ここのところの急激な気温の低下が体にこたえているのかもしれません。
中学校校舎の玄関に素敵なバッタが飾られました。すすきの葉で作られた手づくりのバッタです。

2013.09.26
ヤブミョウガとミョウガ
2013.09.26
秋田県、山形県、宮城県、石川県で絶滅危惧Ⅰ類に、新潟県で絶滅危惧Ⅱ類に指定されているヤブミョウガが校舎の裏に咲いています。系統上はミョウガに近い種ではなく、葉がミョウガの葉に似ているためにヤブミョウガと名付けられました。
「共生の森」の近くにはミョウガがたくさん茂っている場所があります。確かによく似た葉であることがわかります。



今日のことば
Take a risk, you can do more than you think.
2013.09.25
イタドリの花が満開です
2013.09.25 Wednesday
裏道のイタドリの花が満開です。イタドリは、世界の侵略的外来種ワースト100 に選ばれるなど、生命力のあまりの強さから敬遠されることも多い植物ですが、その花はなかなか美しい姿をしています。美しいだけでなく、多くの生物の栄養源となり、イタドリの周辺は9月の時期が最もにぎわう時期となっています。



今日のことば
やはり、何かにひざまずく心がないといけませんね。日本人は太古の昔から、人間なんて自然のほんの一部だと、非常に謙虚だった。人間と自然が一体になった日本の自然観は、今後ますます大事になっていくでしょう。だから日本が、この素晴らしい文化を世界に広めていくことこそが、大きな国際貢献になる。どしどし世界に発信していくべきだと思う。
藤原正彦
2013.09.23
シロバナマンジュシャゲ

2013.09.23 Sunday
今日はお彼岸の中日です。今年もまたヒガンバナの季節がやってきました。不二聖心ではなぜか、シロバナマンジュシャゲ(白いヒガンバナ)の方が赤いヒガン バナより目につきます。写真は校舎の裏で撮影したものですが、付近に赤いヒガンバナは見当たりません。ヒガンバナはいわゆる「人里植物」で、その分布には 必ず人間の活動が関係しています。不二聖心のヒガンバナの比率には、不二聖心に関わってきた人々が何らかのかたちで関わっているものと思われます。
今日のことば
2013.09.21
「共生の森」のテーブル(間伐材使用) ツチイナゴの成虫と幼虫
2013.09.21 Saturday
「共生の森」に間伐材を用いたテーブルが設置され、木陰で食事をしたり読書をしたりすることもできるようになりました。近日中に駿東地区にオープンする某有名コーヒー店に置かれるテーブルと同じデザインのテーブルです。

「共生の森」でツチイナゴを2匹見つけました。一方は体色がすっかり茶色になった成虫で、もう一方はまだ緑色の終齢幼虫です。生き物の成長の速度は、同じ種であっても、それぞれだということを「共生の森」の生き物たちは教えてくれます。


今日のことば
原水爆による犠牲者は、私で最後にして欲しい。
久保山愛吉(第五福竜丸無線長)











