校長室から

2013.05.13

第3回 中高別朝礼の話(2013年5月13日、14日)

 おはようございます。こうして、朝礼でお会いするのは久しぶりですね。私は今週末、東京で開催された不二聖心の同窓会「ドゥシェーン会」の総会に出席してきました。そこで、このポスターを頂きました。校長室の前に掲示しておきますので、後で見てください。ドゥシェーン会が、どのように日本の姉妹校や世界の姉妹校の組織とつながっているかを一目で見ることができます。昨日、「母の日」の昼礼で皆さんからクッキーとカードを頂いた際、創立者マグダレナ・ソフィアが、生徒たちを「私の愛する子供たち」と呼んでいらしたことをお話しましたが、今月は卒業生を含め、世界中の様々な聖心で、いったいどれだけ多くの「子供たち」が彼女のことを思い、ごミサを捧げ、お祈りするのでしょう。

 さて、このポスターの中に“AMASC”とありますが、これは「世界聖心同窓会」の略です。AMASCは1965年のベルギーでの第1回大会以降、4年に一度、世界各地で大会を開いています。日本では1986年に東京で開かれ、国内外から1,000名もの同窓生が参加しました。次回は2014年にアメリカで行われます。

AMASC大会には毎回テーマがあり、それに沿って、大会までの4年間、各国でスタディグループを立ち上げて勉強会を行い、その成果を大会に持ち寄り話し合います。次のアメリカ大会のテーマをご紹介します。

テーマ: "Listening with One Heart" (心を一つにして耳を傾けよう)

スタディの課題になるべきサブテーマ:

"Listening with One Heart to the Voice of the Poor"(心を一つにして貧しい人の声に耳を傾けよう)

"Listening with One Heart to the Concerns of Others"(心を一つにして他人の心配事に耳を傾けよう)

"Listening with One Heart to the Dialogue between Science and Religion"(心を一つにして科学と宗教の対話に耳を傾けよう)

 「心で聴く」と、耳で聴く以上のものが聴こえます。「心を一つにして聴く」と、一人では聴こえないものが聴こえます。ある時は、解決できないと思えるような課題にも光がさしてきたりします。この新しいクラスづくりが進む時期、一人ひとりが“

Listening with One Heart“ 、「心で聴くこと」「心を一つにして聴くこと」を心がけてみましょう。

2013.04.16

第2回 中高別朝礼の話(4月15日・16日)

連日のように朝鮮半島をめぐる緊張したニュースが流れています。皆さんも心を痛めつつ、関心をもって見守っていらっしゃることでしょう。

 現韓国大統領の朴槿惠(パク・クネ)氏は、ソウル聖心で中高時代を過ごした方です。昨年、彼女の自伝『絶望は私を鍛え、希望は私を動かす』(2012年 晩聲社)の日本語訳が出版されました。在学当時、父の朴正煕(パク・チョンヒ)氏も大統領でしたから、青瓦台から聖心に登校したこと等も書かれています。また一年間の寄宿生活の様子や聖心の制服を来た写真も掲載されています。

 彼女は、大学もまたカトリックの西江大学という学校に入りました。大学卒業後に留学したフランスのグルノ-ブルは聖フィリピン・ドゥシェーンが生まれ育った町ですが、この留学中に母を(文世光事件1975年8月15日)、その5年後に父を(朴正煕暗殺事件1979年10月26日)亡くしました。いずれも政治的な背景から凶弾に倒れる、という壮絶な最後でした。

  「絶望は私を鍛え、希望は私を動かす」――、これは彼女の生き様そのものを表す言葉ですが、私たちにも通じるメッセージがあるように思います。誰でも絶望的な思いにのみこまれそうな時がある、けれど明けない夜はない。絶望までいかなくても、日々の生活において、気にそまないこと、嫌なこと、大変なことを引き受けなければならないことはしばしばある、けれど、それらが自分を鍛え得ることを私たちは経験的に知っています。今よりもっと成長したいと願うなら、マイナスに思える事柄とどう向き合うかが鍵なのかもしれません。

 また新しい一週間が始まりました。皆さんは、どんな気持ちで今日一日を始めようとしていらっしゃいますか?希望を感じている方もあれば、大変だな・・・という気持ちの方が強い方もあるかもしれません。どんなに大変に思える日であっても、丁寧にみると必ずどこかに希望の光はあります。たとえ小さくても希望につながる光に導かれて、今日を始めましょう。

2013.04.09

第1回中高別朝礼の話(4月8日・9日)

おはようございます。職員室前に掛けられている絵が変わったのに気づいた方はいらっしゃいますか?本を開いた一人の少女が、大人の女性と向き合っている絵です。

  これは、スペインの画家ムリ-リョ(Bartolomé Esteban Perez Murillo、 1617年12月31日 - 1682年4月3日)は、バロック1617年−1682年)が描いた少女時代の聖マリアと母アンナの絵です。今年の学校目標「知性を磨く~若さを価値あるものとせよ~」を理解する助けとなるよう願い、職員室の前に飾りました。マリアの表情、とくに眼差し、そして指の動きなどから、学ぶ者としての姿勢のようなものが感じられます。

  アンナはマリアの母で、教会では聖人として尊敬されています。6世紀にはコンスタンティノポリス(現イスタンブ-ル)にアンナに捧げられた教会が建てられました。13世紀以降、正式に7月26日を聖アンナの祝日として祝っています。
  新約聖書の中に、アンナも少女時代のマリアも登場しません。同じ時代に書かれた他の文献から伝わる伝承によると、マリアは、長く子宝に恵まれなかったアンナと夫のヨアキムにとって初めての子供でした。子を授かると天使から告げられた時のニ人の喜びはとても大きなもので、その感謝のしるしとして、アンナとヨアキムは、3歳になったマリアをエルサレム神殿に奉献したといいます。誕生前から、そして生まれた後も、マリアの中には神様や周りの方々の思いや祈りが込められていたのです。

  皆さんも同じです。あなたたちも、誕生前から今日まで、ご家族や、神様、そして先生方の思いの中にいます。もちろん、皆さんご自身も、自分に対する願いや、夢、希望があると思います。どうぞ、それを大事に育んでください。今日から授業が始まります。自ら学ぶ姿勢を大切にしながら、学ぶ喜びを体験していくことを願っています。