シスター・先生から(宗教朝礼)

2025.12.10

2025年12月10日放送の宗教朝礼から

 いよいよ、クリスマス・キャロルが来週となりました。今年は以前のキャロルのように、一般のお客様をお迎えして、イエスのご降誕という恵みの時を多くの皆さまとともにお迎えできますね。

クリスマス・キャロル週間を過ごす今週は、学校内でどこからともなく聞こえてくる皆さんの歌声に、イエス様ご降誕の喜びの日が近づいてきていることを感じずにはいられません。街はイルミネーションが光り、クリスマスソングやクリスマスツリーの飾りに溢れ、一層賑わいが増す時期になりましたが、静けさの中でクリスマス本来の意味を考え、本当に大切なものへと心を向ける待降節の期間を過ごすのが、聖心における伝統的なクリスマスまでの過ごし方です。
これまでの期間に、さまざまな形で聖心の生徒としてのプラクティスの過ごし方、心構えについて皆さんはお話を伺ってきましたね。プラクティスは、クリスマスへの大切な心の準備期間でもあります。待降節にあたり、聖心の創立者である聖マグダレナ・ソフィア・バラの教えをもう一度辿り、心静かにこの時を過ごせる ように考えてみましょう。
聖マグダレナ・ソフィア・バラは、静けさを大切になさっていました。「神の望みにまかせること、それこそ平和をみつける唯一の道です」というマザー・バラの言葉に象徴されるように、祈りながら忍耐強く神のなさることを待ち、彼女は優しさと思いやりを持って神のなさることに自分を捧げました。日々の生活の中に、沈黙や静けさをつくることで、心に空間ができる、つまり神様を迎えるスペースをつくることができるということを彼女の生き方は教えてくださいます。私たちは、時に慌ただしく、目の前のことに翻弄されて過ごしていると、自分の中にある大切なものにさえ気づくことが出来なくなる時があります。各クラスで決めたプラクティスの意味や、あなた自身のプラクティスの過ごし方を今一度、自分の心の深い部分で見直してみることも必要かもしれません。そうすることで、より心を落ち着けて、クリスマスを迎えることができるようになると思います。
さて、今年のクリスマス・キャロルのテーマ「Luminous (ルミナス)」は、柔らかく明るい光、輝くという意味を持つ言葉です。カトリック教会において、「希望」をテーマとした聖年の年に当たる今年2025年に、この希望を象徴する「光」Luminous(ルミナス)には、イエス様のご降誕をお祝いする喜びを一層輝かせたい、そんな願いが込められています。
イエス様の誕生を表すベツレヘムの星が夜空に美しく輝き、羊飼いや3人の賢者が導かれたように、クリスマス・キャロルの一つの象徴として、この光はとても大切で深い意味を持ちます。
2000年前に、政治的に不安定で経済的な格差も激しかったユダヤ社会の貧しい人々にとって、イエス様は希望の光でした。それから長い時を経た今の時代において、私たちは未だ様々な問題を抱えています。
パレスチナやウクライナなどでは紛争が続き、また世界中で格差や貧富の問題があります。ナイジェリアのパピリでは学校が襲撃され、今も多くの子どもや大人たちがさらわれ行方不明の状態にあり、ご家族は深い恐怖と不安の中で過ごされています。日本に住む私たちは、本当に恵まれた毎日を過ごせているのです。
聖マグダレナ・ソフィア・バラが礎を築いた聖心は、世界中に広がっています。この時期、皆さんだけでなく、世界中の聖心の生徒たちは、心を一つにして祈り、歌い、イエス様のご降誕を待ち望んでいます。イエス様の存在が、世の暗闇を照らす消えない光であることを伝え、そのご降誕の喜びを分かち合う、世界中の人々が光を信じ、希望を持ち生きることの大切さを知る、今年のテーマであるLuminous(ルミナス)という言葉を心の深いところで皆が考えることが大きな意味を持ちます。
私たちが、今の自分の平和な生活に感謝し、この光を信じ、祈りの気持ちを伝えられるクリスマス・キャロルにしていきましょう。そのために、皆で平和を願いながら、共に歌い、誰かの希望となることが出来ますように。クリスマス・キャロルまでの日々を大切に過ごして行きましょう。
A.T.(図書館)