シスター・先生から(宗教朝礼)
2025.11.26
2025年11月26日放送の宗教朝礼から
最近、「失敗した」と感じた経験をした人はいるでしょうか。
なぜ私がこんな質問をしたかというと、あと1ヶ月で終わる2025年を振り返ったとき、私にとってこの1年は失敗が多かったように感じたからです。慌ただしい日々の中で、大事なことをうっかり忘れてしまったり、前もって気付けるはずのことを見落としてしまったり…。
「もっと早く気づけたら…。」「どうしてあの時、ちゃんとやっておかなかったんだろう。」
思わず笑ってしまうような小さな失敗から、誰かを傷つけてしまうような大きな失敗まで、その種類や大きさ・度合いはさまざまですが、きっと誰にでも「やってしまった…。」という瞬間があるのではないでしょうか。
例えば、ルールを破ってしまったこと。マナーを守れず、周囲に迷惑をかけてしまったこと。「今日こそ、テスト勉強しよう!」と思っていたのに、つい他のことに気を取られて、計画通りに進められなかったこと。慣れ親しんだ友人との会話で、「これくらい大丈夫だろう。」と思って言った一言が、相手を深く傷つけてしまったこと。
こうした日常の出来事も、1つの「失敗」だと言えるかもしれません。
できれば失敗は避けたいものです。失敗しないに越したことはありませんし、もちろん、そうならないように十分注意を払い、最善を尽くすことは大切です。しかし、どんなに気をつけていても、ふとした瞬間に失敗は起こります。中には、悪いと分かっていても、その場の勢いや流れで行動してしまうこともあるかもしれません。また、自分では正しいと思ってやったことが、結果的に失敗を招いてしまうこともあるかもしれません。
失敗の形や理由は、本当にさまざまです。
そのせいなのか、私たちは失敗に直面したとき、つい何かのせいにしたくなってしまうことがあるように思います。
「あの人がこう言ったから。」「あの時、こうしてくれなかったから。」「環境が悪かったから。」他の誰かや、状況のせいにすると、一時的に自分の心が軽くなるような気がするかもしれません。でもそれでは、失敗はただの「出来事」で終わってしまいます。残念ながら、起きてしまった過去や事実は変えられません。大切なのは、その経験と向き合うことです。そして、そこから何か大切なことに気づき、これからの考え方や行動を少しずつ変えていくことです。
「なぜ、そうなってしまったのか。」「同じことを繰り返さないためには、どうしたらいいか。」ちょっと視点を変えて考えてみると、失敗は自分を成長させる材料になります。
不二聖心で、とても大切にしている「振り返り」。みなさんもさまざまな場面で取り組んでいると思います。良いことも、悪いことも、成長の糧。みなさん、一人ひとりの強みにしてほしいと願っています。
ここで、私が大切にしている、マザー・テレサの言葉を紹介します。
「小さなことに忠実でいなさい。そこにあなたの強さが宿るのですから。」
高校1年生の方の中には、この言葉を覚えてくれている方もいるかもしれません。
派手なことをする必要はありません。むしろ、毎日の中で誰にも気づかれないような小さな誠実さこそが重要です。大切なのは、どれだけ多くのことをしたかではなく、どれだけ心を込めたか。マザー・テレサはそう語っています。
では、「小さなことに忠実でいること」とは、具体的にどんなことでしょうか。
私たち人間は、1日におよそ3万5千回もの決断をしていると言われています。その一つひとつの小さな行動や態度が積み重なって、自分自身や周りに、少しずつ影響を与えます。時には、選択の多さに疲れてしまうこともあるかもしれません。でも、日々の小さな誠実さを意識し、実践していくことが、私たちを内側から強くしてくれるのです。
さて、明日からはプラクティスが始まります。プラクティスは、イエスさまを静かにお迎えする心の準備をする期間です。クリスマスというと、街ではイルミネーションが光り、にぎやかな雰囲気に包まれますが、本来の待降節は、静かに心を落ち着かせ、日々を丁寧に過ごす時間です。
みなさんはこの1年を振り返って、どんな小さな誠実さを積み重ねてきたでしょうか。どんな失敗をして、その中から何を学んだでしょうか。少し立ち止まって、自分自身を振り返ってみましょう。
そして、昨日より今日を、少しだけ優しく過ごす。昨日よりちょっとだけ、誠実に過ごす。その小さな積み重ねが、クリスマスを迎える心を整えてくれます。
今年のプラクティスがみなさんにとって、自分を見つめ、優しさと誠実さを積み重ねる時間になりますように。それが、みなさんを静かに、確かに強くしてくれるはずです。
今日も1日、良い日になりますように。
H.S.(芸術科)











