シスター・先生から(宗教朝礼)

2025.06.11

2025年6月11日放送の宗教朝礼から

  前期中間試験が終わり、これから前期の学校生活も後半に入ります。前期前半の学校生活はいかがでしたか?振り返ると新学期が始まってすぐに体育大会に向けた準備やダンスの練習、少しするとゴールデンウイーク、連休明けには体育大会本番を迎え、その後はすぐに前期中間試験、かなり慌ただしい日々だったのではないかと思います。 

 6月に入り、東海地方でも梅雨入りの発表がありました。大雨や台風が多いシーズンに入ります。また、最近は地震のニュースなどもありました。このように災害のニュースを聞くたびに防災意識を持って生活しなければならないと思う方も多いのではないでしょうか。
 防災意識を持つとはどのようなことなのでしょうか?考えてみましょう。例えば、学校や寄宿舎で行われる避難訓練には常に当事者意識を持って取り組む、学校内、登下校中、休日に家で過ごしている時、それぞれの状況下で災害が起こった時に自分の命を守るには、どのように行動すべきかを予め考えることなどが防災意識を持つ第一歩になるのではないかと思います。日々の備えに加えて実際に起こった災害について詳しく知ることもまた防災意識を持つことにつながるのではないでしょうか。今日は私の経験談や失敗談を交えて災害時に大切にして欲しいことについてお話ししたいと思います。
 今からちょうど30年前の1月17日に何が起こったか、すぐに答えられますか?阪神淡路大震災が起きた日です。その時のことを少し振り返ってみます。私が阪神淡路大震災を経験した時は小学校低学年、当時は防災教育や避難訓練などの概念は現在ほど社会全体に浸透していませんでした。当時の私は災害が起こった時に自分や身の回りの人の命を守るにはどのように行動するべきかについても恥ずかしながら全く考えたことがありませんでした。
 実際に地震が起こった時は当時住んでいた建物の下の階が落ちたのではないかと感じるぐらいの強烈な縦揺れが続きました。早朝だったこともあり私は最初、何が起こったのかさえも分からない状況でした。最初に寝ぼけながら発した言葉は「今のはなんだ?」でした。その日は冷え込んでいて、少しずつ目が覚めてきました。寝室を見渡せば家具のほとんどは倒れ、家具のガラス扉は割れ、リビングキッチンでもガラスや食器の破片が散乱していました。この光景を見て私はパニックになりどうすればいいかも分からず、立ち尽くしていました。なぜ、パニックに陥ってしまったのでしょうか?今まで地震がどのような災害で、起こった時にはどのようにして安全確保をするべきか知らなかったからです。母親は滅多に大きな声を出す人ではありませんが、この時ばかりは強い口調で「早く家の玄関から外に出るように」と言われました。破片だらけの寝室からやっとの思いで寝室を出てもリビングにも倒れた家具やガラスの破片がいっぱいの状態、台所ではお鍋の中に入っていたはずの前日の夕食クリームシチューが散乱した状態、必死の思いで家の外に避難したことを覚えています。
 今振り返ると、地震がどのような災害なのかをよく理解し、家具が倒れないような対策をしっかりしておけば、もっとスムーズに安全確保ができたのではないかと思います。
 次に災害時に大切にして欲しいことをお話しします。災害時、一般的には多くの人はパニックになり、落ち着きや冷静さを失ってしまうことが多いと言われています。恥ずかしながら当時の私もその一人です。しかし、そのような災害時だからこそ、周囲の方への気配りや目配りは大切しなければならないと思います。災害時には様々な方が避難します。当然、その中には身体的にハンディキャップを持っている方、年寄り、妊婦の方や小さい子供を抱えた方などもいらっしゃいます。気配り目配りをしっかりとして、誰一人取り残すことなく、安全確保することを意識しなければなりません。
 当時は今のようにスマートフォンは普及しておらず、停電でテレビも映りません。何も情報源がないのです。私はやっとの思いで家を脱出して、車の中で暖を取っていると、けたたましい数の消防車や救急車がサイレンを鳴らして走っているのを見て、「これは大変なことが起こっている」とやっと気が付きました。地震発生が早朝だったため、私は空腹で限界でした。そんな時に近所の方がキャンプ用の調理器具を使ってラーメンを振舞って下さいました。その時、子供同士でラーメン争奪戦が起きてしまいました。私は運よく温かいラーメンを食べることができましたが、周りにはラーメンを食べられず、泣き叫ぶ自分より小さい子供がいっぱいいました。今思えば、なぜ周りの子どもに気配り目配りができなかったのだろうか、自分のラーメンを少しでも取り分けてあげることができなかったのだろうかと考えると、とても恥ずかしい気持ちでいっぱいです。災害発生時は備蓄していたとしても食料や水が特に不足すると言われています。そんな時でも、食料や水がなどの物資が行きわたっていない方がいらっしゃれば自分の物資を分けるなど、困っている人を助けるために今の自分には何ができるか行動できる人になって欲しいなと思います。
 大雨、台風シーズンを迎える今だからこそ、もう一度防災について考え、日々の生活でも周囲への目配りや気配りを大切に過ごしてもらいたいとな思います。これで宗教朝礼を終わります。
Y.O.(英語科)