シスター・先生から(宗教朝礼)
2025.01.29
2025年1月29日放送の宗教朝礼から
私は、先月、AIについて学ぶ機会があり参加してきたのですが、AIはどんどん進化していて、いろいろな生成AIがあることを知り、驚きました。いつかは人間の仕事がAIにとって代わられ、職がなくなるという話を聞いたことがあります。皆さんはその言葉を聞いてどんなことを考えますか。確かにプログラムを組めば、AIはミスなく正確に作業を行えると思うので一部の仕事はAIに頼っていくようになると思います。では、人間だからできること、人間にしかできないことってどんなことだと思いますか?少し考えながら話を聞いてほしいと思います。
皆さんは、これまでに「メモを取る」という経験はあると思います。メモは、話を聞いて自分に必要なことや大切だと思ったこと、または人から頼まれたことなどを忘れないようにするために、メモを取っているという人は多いのではないかと思います。i-padやスマホがもう既にあるため、AI機能に頼れば、わざわざ紙と筆記用具を用意して人がメモすることの必要性はなくなっていくと思います。実はメモすることの意味はこの先にあるのです。数年前に出版された「メモの魔力」という本を手にしたことはありますか。私は著者の前田裕二さんのインタビューを見たことがあります。映像の中だけでしたが、とても誠実で相手の話を聞く力のある人だなと感じたことがありました。
彼は著書の中で、メモをとるということで私たちが持てる大きな力、鍛えられる力が5つあると言っています。まず1つ目は、メモを取っていくことで、いろいろなアイデアを生み出す力に繋げていくことができるということ、2つ目はメモを取ることを習慣にしていくことによって、大事な情報を聞き逃すことを減らすことができる力、3つ目は、メモを取るという姿勢は、話している人からもっともっと深い話を聞きだすことができる要素を持っているということ、4つ目は相手の話を聞きながら内容を整理できる力が鍛えられ、見やすいメモを書くことができるようになっていくこと、5つ目はメモを取ることによって相手の言葉を文字にするため、自分自身の説明する力も鍛えられるということだそうです。これらの内容を聞いて、改めてメモをするということについてどう思いましたか。メモのとり方を意識するだけでいろんな力をつけることができます。
さて、最初に人間にしかできないことは何があるかという質問をしたのですが、その話に戻ります。人間には、感情という素晴らしい感覚があります。感情は皆さんの生活の中にいつも一緒に存在します。「楽しいな」「うれしいな」はどんな時に感じますか?「悲しいな」「なんかイライラするな」はどんな時に感じますか?人が生きていく中で、これらの感情は他者とのかかわりの中で生まれて来ることがほとんどではないでしょうか。前半の感情は、相手との気持ちがお互いにポジティブな状態にあるときに現れ、後半の感情は、どちらかの感情がネガティブな状態にあるときに現れて来ることが多いのです。空気を読むという言葉を聞いたことがあると思いますが、空気を読みすぎるのも心にストレスを与えてしまう原因につながるため、気を付けなければなりませんが、他者と会話をするときにやはり大切なのは、使う言葉、相手への気遣いなのではないでしょうか。これから、もっともっとたくさんの人とかかわりを持っていく私たちは、今持っている語彙力、文章力を増やし、相手の置かれている状況をみながら、鍛えた力を使って周りの人たちと上手に関係性を作っていくことが大切になっていきます。そのときに必要な力がメモをとることで鍛えられ、繋げられるのではないかと思います。これからの社会は、日本国内だけでなく、世界の人たちとかかわりを持っていくことが増えていきます。他国の人たちの置かれている状況や、その国がたどってきた歴史など踏まえながら、同じ内容を伝えるのであっても、表現に使う言葉を変えたり、話すタイミングをみたりと冷静に考え判断しながら、私たちは伝えていく必要性があると思います。
人間にしかできないこと、私はコミュニケーション能力、相手の気持ち・感情を捉えながら話す能力がこれからはもっと大切になっていくと思います。ネガティブなことを我慢するのではなく、その感情をどう表現したら、うまく相手に伝えられるかを考えてほしいのです。AIは上手な文章を作れますが、話す相手の状況については配慮できません。その時の状況を感じ判断して話せるのは人間です。メモをとるということから、これらの必要な力、能力は鍛えることができますし、伸ばすことができると思います。ぜひどこに行くのにも自分の好きな手帳と筆記用具を持ち歩き、メモを取る習慣を身につけていくようにしてみてください。
これで宗教朝礼を、終わります。 (数学科Y.M)