シスター・先生から(宗教朝礼)

2024.11.13

2024年11月13日の宗教朝礼から

 おはようございます。宗教朝礼を始めます。

明日は聖フィリピン・デュシェーンの祝日です。フィリピン・デュシェーンの樫の木のような強さを私たちも持てるように、心をこめて主の祈りを唱えましょう。

天におられるわたしたちの父よ、

み名が聖とされますように。

み国が来ますように。

みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。

わたしたちの日ごとの糧を今日もおあたえください。

わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。

わたしたちを誘惑におちいらせず、

悪からお救い下さい。

アーメン。

 秋のつどいでは、皆さんの豊かな感性、独創性、能力に驚き、たくさんの良い刺激を与えていただきました。また、準備や片付けにおいても、リーダーシップと協力性、何事にも柔軟に対応し、工夫して物事をやり遂げる力を目の当たりにして、AIが発達した世の中で人間に期待される力はこのようなものかもしれない、と思ったりしました。10月、秋のつどい委員の方たちは、毎日遅くまで仕事をしていました。中でも高校3年生は、自分がどれほど仕事を抱えていても、明るい笑顔を絶やさず、穏やかに優しく、的確に指示を与えて、委員会を引っ張ってくれました。下級生も、快く、工夫を凝らして仕事に取り組んでくれました。他のクラブや委員会の活動、研究発表などにおいても、お互いにアイデアを出し合い、協力し合って、見に来て下さった方に楽しんでいただけるよう、時間をかけて精一杯準備されていましたね。他者のために自分の能力や時間を使い、頑張る姿は、創立者聖マグダレナ・ソフィアが大切にされていた「generosity(ものおしみしない心)」そのものだと思いました。

 日本や世界においても、総裁選挙、アメリカ大統領選挙など、リーダーの動きに注目が集まっています。6月には、インドで、貧しい紅茶売りの家庭に生まれながらも2014年に首相に就任したモディ首相が、3期目の当選を果たしました。8月には、バングラディシュで、貧困層を救うために低金利・無担保のグラミン銀行を創設して2006年にノーベル平和賞を受賞した経済学者のムハマド・ユヌス氏が、バングラディシュ暫定政府の首席顧問に就任したというニュースもありました。ムハマド・ユヌス氏については、英語のNew Treasure Stage 3のFurther Readingに物語が載っていますので、是非読んでください。

 突然ですが、ここでクイズです。アメリカの歴代大統領の中で、一番偉大だと思われている大統領は誰でしょうか。アメリカの歴代大統領を思い浮かべて、その中から一人選んでみてください。調査団体や年代により多少の差はあるものの、ほとんどの調査において「エイブラハム・リンカーン」が1位だったそうです。リンカーン大統領について、皆さんはどのような話を聞いたことがありますか?『Progress in English』という、フリン神父様がお作りになられた英語の教科書のBOOK5に載っていたリンカーンの話がとても印象的だったので、ご紹介したいと思います。「Lincoln, a Man of Character (人格者、リンカーン)」というタイトルのお話しです。英語だと少し難しいので、日本語に訳します。 

リンカーンは人格者であった。人格者は、意志の強さと心の広さをあわせ持つ。人格者は、信頼がおける人物であり、反対に直面しても信念を貫く。同時に、人格者は慈悲深く、弱者や不幸な人に対する慈悲の心を持つ。エイブラハム・リンカーンはまさにこのような人格者であった。嵐にも屈しない強い樫の木のように、どのような批判にさらされようと、慈悲の心をもって、黒人奴隷に自由を与えた。リンカーンは、批判にも負けない意思の固い人物であったが、多くの場面で非常に慈悲深かった。あるとき、彼は兵役中に居眠りをしたことで死刑を宣告された若い兵士の命を救った。リンカーンは言った。「あのかわいそうな若者の血に手を染めてあの世へ行くことなど、私にはできない。農場で育ち、おそらく日が暮れると寝る習慣だった少年が、夜間の兵役で居眠りをしたとしても無理はない。彼を銃殺することには決して同意できない。彼は許されるべきである。」この慈悲の行いが、その許された若者にどのように影響したかは、この若い兵士が後に、戦場で命をささげた際、胸元にリンカーン大統領の写真を抱えていたことからわかるだろう。そして、その写真の裏には、「I pray that God bless President Lincoln(リンカーン大統領に神様のお恵みがありますように)」と書かれていた。

この物語は、リンカーンの大統領就任演説の一節でおわります。

誰に対しても悪意をもたず
全ての人に慈愛を持って
神が与えて下さる正義を知る力に応じて
正義において堅く立ち、
私たちが従事している務めを終えようではないか。
それは国民の傷をいやすこと、
闘いに倒れた人と残された妻子を援助することと、
わが国民の間に、そして全ての国の民の間に、
公正で恒久的な平和を成し遂げ、それを保ち続けるために
あらゆる努力をすることである

リンカーンのように強く優しい人にはなかなかなれませんが、強い信念と慈悲の心を持った偉大なリーダーの生き方や話は、私たちに多くのことを教えてくれると思います。  
最後に、英語の長文には、とても面白いトピックや、新しい気づきを与えてくれる話がたくさんありますので、楽しみながらたくさん読んでもらえたらうれしいです。

J.N.(英語科)