シスター・先生から(宗教朝礼)
2024.11.08
2024年11月6日の宗教朝礼から
先日、行われた秋のつどいでは、皆さんの日頃の研究の成果や、素晴らしい公演、展示などをたくさん味わい、素敵な時間を過ごすことができました。
秋のつどい1日目が行われた11月1日は、カトリックでは「諸聖人の祝日」という、すべての聖人と殉教者を記念して、祈りを捧げる日となっています。この「諸聖人の日」には前夜祭があり、古い英語で「オール・ハロウズ・イブ」といいます。それが縮まって現在では「ハロウィン」と呼ばれています。ハロウィンは、もともとは古代ヨーロッパの習慣だったものが、ローマ帝国やキリスト教と関わりのなかで、現在の形になりました。
先週、寄宿舎でもハロウィンパーティーがありましたね。少しだけお邪魔させてもらったのですが、楽しいお食事の様子や素敵な仮装姿を見て、私もハロウィンの雰囲気を楽しむことができました。
私も昔、ハロウィンの仮装をしたことがあります。私は神奈川県の横須賀市出身なのですが、小学校1年生の時、アメリカ軍基地で行われたハロウィンのお祭りに参加したことがあります。米軍基地を横須賀の人はベースと呼びます。当時ベースには知り合いの家族が住んでいて、私はそのお家のケーシーという女の子と仲良くしていました。ケーシーのお父さんは米軍の兵士で、お母さんはフィリピン出身の方でした。日本での任期が終わってアメリカに戻るまでの間、この家族に親切にしてもらいました。ハロウィンの日は、ケーシーの家族に衣装などを用意してもらい、私もベースの子どもたちと一緒に行列になって、お菓子をもらうために家々をまわりました。ちなみに私の仮装は黒猫でした。
初めてのハロウィン行列は、優しい大人の人々に見守られながら、夢のような時間を過ごしました。しかし、そのあと問題が起きました。それはもらったお菓子を無駄にしてしまったことです。ハロウィン行列でお菓子をもらったときは、とても嬉しくて、わくわくしながら家に持ち帰ったのですが、全部は食べきれず、持て余していたら、いつの間にか親に捨てられてしまいました。その時は「もったいないことしたな」と思っただけでしたが、あとで「ケーシーはお菓子を自分ではほとんど食べずにフィリピンへ送った」という話を聞いて、ショックを受けました。直接見たわけではないですが、ケーシーがお母さんと一緒にお菓子を段ボール箱につめてフィリピンへ送ろうとしている光景が浮かび、私は自分がしてしまったことが恥ずかしくて、悲しい気持ちになりました。ケーシーにお菓子を譲っていれば、ケーシーもフィリピンの人達ももっと食べられたかもしれないのに、と後悔しました。お菓子を食べられない人もいる、ということは、それ以前も何となく知ってはいたのですが、自分の痛みを伴って感じたのは、それが初めてではなかったかと思います。
それからしばらく、ハロウィンはほろ苦い思い出になっていましたが、何も知らなければ「ただ楽しかった」で終わってしまっていたでしょうから、今ではちゃんと考えることができてよかったと感じています。
さて、今日はワールド・スマイルズ・ランチの日ですね。普段私たちは、食べ物が得られないという心配をすることなく過ごしていますが、今日は「食前の祈り」にもあるように、食事を十分にとることができない方々に思いを寄せて、自分に何ができるのか考えて過ごす一日にしましょう。