シスター・先生から(宗教朝礼)

2024.06.26

2024年6月26日放送の宗教朝礼から

  今日は「自分の生き方」について、皆さんと一緒に考えてみたいなと思います。皆さんは命や死についてどれくらい考えたことがあるでしょうか?私はこの1年半ほど、命や死について考えることが多くありました。

  始まりは昨年の2月上旬でした。施設に入っていた祖父が危篤だと連絡が入り、兵庫県の中でもかなり田舎な場所に片道5時間かけて向かいました。最後に会えてよかったと思いましたが、その後の祖父は粘り強く、危篤と言われてから約3週間後の2月下旬に93歳でその一生を終えました。最終的に2月は毎週末5時間かけて施設に面会に行ったことになりますが、家族も皆笑ってしまうくらい、「おじいちゃん、もうさすがに悔いはないでしょう」という大往生でした。この時、祖父が過疎地域の医療に力を入れて人生を捧げてきたということを知った私は、自分の人生で大事にするべき軸について考え直すようになり、「自分はいったいどういう人生の終わり方をしたいのか?」と考えるようになりました。
  しかし、1年後の今年の2月。全く逆とも言っていいような出来事が起こりました。このことについては、まだ月日も多く経ってはいないのでここで話すことは控えますが、まだまだこれからの未来に、本当にたくさんの希望で満ち溢れている若い人でも命を失ってしまうことは、やはり現実にあるんだよなということを改めて思い知る機会となり、「生きること」について、また違う面から考えさせられました。
  そして、今年の5月には、吉本ばななさんの『キッチン』という小説を読みました。読んだことのある人もいるかもしれません。少し軽い気持ちで読み始めた本でしたが、死をテーマにしている短編小説でした。ここでは寿命でも病気でもなく「あっけなく」交通事故などで大切な人を亡くし、遺された人のお話が書かれていました。大袈裟かもしれませんが、明日確実に生きていられる保証なんて誰にもないんだよなということを再確認しました。
  こうしていくつかの角度から「生きること」や「自分の生き方」について考えると、自分自身が「今」生きていることにストイックになること。これが私たちの使命なのではないか?長期的に人生をどう終えるかという視点と「現在」に強烈なスポットライトをあてるというどちらもの視点を持ちながら、「この瞬間」を生きている者の使命として、自分がどういう姿で在りたいのか、今全てが終わっても悔いはないのか、とことん向き合い追求して、実現のために行動する。色んな感情になりながらも、丁寧に1日ずつ積み重ねていくことしかないのではないかと考えました。もちろん、これは私の考えです。
  皆さんは「自分の生き方」「生きること」はどういうことだと考えますか?是非この後の振り返りの時間に少しでも書いてみてください。
  最後に、私は毎年宗教朝礼で性の多様性に関する話をするようにしていますが、先ほどの「生きること」について考えた末に「自分らしく生きる」自分の在りたいセクシュアリティで生きるためには、もしかすると勇気を振り絞って動かなくてはいけないこともあるかもしれません。
  13人に1人がLGBTQと言われる中で、単純計算で全校生徒と教職員を併せたうちの40人ほどが当事者という計算になるでしょうか。性の多様性は一言では言い表せないことや、分類できないこともあり、無理にどれかに当てはめる必要もありません。なのでもっと多くの当事者がいるかもしれないなと思いますし、それが誰でもいいと思います。ただただ、この学院にいる全て人が、ありのままの自分を大切にできるよう心から願い、行動し続けたいと思います。
  昨日もイベントが行われたFRP(不二レインボープライド)の活動は、不二聖心の中で「ありのままの自分で生きていいんだ!」と発信し続けるためのものでもあると思っています。このような活動があること、改めて本当に嬉しく思います。
  イベントには参加できなくても、何かお話したいことなどがあれば遠慮なく声をかけてください。皆さんのありのままの生き方を肯定するコミュニティが不二聖心にあることを、是非心に留めておいてほしいなと思います。
 
  明後日はみこころの祝日です。この瞬間をこうして生きていることすら当たり前ではないこと、そういった意味からも奉仕させていただく気持ちを大切に皆で一日を過ごすことができるよう、心からお祈りしています。
これで宗教朝礼を終わります。
( N・I 保健体育科)
関連プロファイル
1-14:周囲への気遣いや、細やかな心配りができます。
1-16:他者の立場に立ってその人の心を理解しようとしています。
1-17:逆境や失敗の中でも働いておられる神の存在に気づき、希望を持って生きていくことができます。
2-10:国際社会、環境、政治など、さまざまなことがらに問題意識を持つことができます。
3-1:自ら考え行動する力が育ってきています。
3-8:学校共同体の一員として、自分の役割を認識し、働くことができます。