シスター・先生から(宗教朝礼)

2022.09.28

2022年9月28日放送の宗教朝礼から

  皆さんはカトリック学校に通っている意味を考えたことがありますか。なぜ、カトリック学校に通っていますか。カトリック学校で何を学んでいますか。朝礼・終礼で十字を切って、他者のため、社会のためにお祈りをする。宗教の授業で、キリスト教や聖書について学び、知識を深める。年に何度かミサに与り、神父様のお話を伺い、生きていく上でのヒントをいただく。これらはカトリック学校でしか行うことができません。先日行われた祈りの会もカトリック学校でしか行うことができない行事の一つです。

 以前、「なぜ祈りの会を行うのか、その時間に勉強したい」という残念な言葉を口にした生徒がいました。私は、人が生きていく上で、祈りの会には勉強以上に大事な意味があると思っています。心を静めて、沈黙を味わうことがなぜ必要なのか考えたことがありますか。姉妹校によって黙想会、練成会、修養会と名称は異なりますが、祈りの会はどの姉妹校でも行われています。どの姉妹校でも行われているということは、祈りの会が聖心女子学院にとってとても大切な行事ということです。

 16 年前、私は初めて祈りの会に参加しました。その祈りの会で「静けさの中で神様を感じる」と目標を立てました。私の祈りの会ノートは、1 冊では足りず、すでに複数冊あります。講話を聴いて振り返りを行う。その時に感じた事、心の動きを書き留める。祈りの会ノートは私にとって宝物です。祈りの会ノートを読み返すと当時の講話などが鮮明に思い出されます。上級生の皆さんも過去の祈りの会ノートを見ると、その時の記憶が懐かしく蘇るのではないでしょうか。

 今日は、私の初めての祈りの会でのお話を分かち合いたいと思います。カトリック学校に通ったことが無い私にとって、初めての祈りの会は衝撃と感動の連続でした。中学 2 年生の副担任として、当時の中学 2 年生と一緒に YMCA 東山荘へ行き、聖心会のシスターから 5 つの講話を伺いました。私の尊敬する大好きなシスターです。その祈りの会では、シスターと 1 対 1でお話しできる「お悩み相談室」がありました。生徒はシスターとどうしてもお話したくて、その部屋の前に列を作って並んでいました。その部屋に入る前と出てきた後では生徒の顔の表情が明らかに違っていました。生徒と同様に私もシスターにお話を聴いていただき、アドバイスをいただきました。当時、子育てと仕事に行き詰まりモヤモヤしていた心が、自然と晴れ軽くなったのを今でも覚えています。シスターの優しくユーモア溢れるお言葉は、私の心を洗浄してくださいました。この祈りの会で伺った 5 つの講話は、今でも私の心の糧となっています。

 その一つを紹介します。

 人間には、誰しも光の心と闇の心があります。光の心とは、優しさ、まごころ、信頼など人を思いやる心の事であり、人との友情を結ぶ心を指します。逆に闇の心とは、妬み、怒り、憎しみなど意地悪な心を指し、人との友情を切る心を指します。光の心と闇の心は誰の心の中にも存在し、消し去ることはできません。しかし、この 2 つの心の大きさは人それぞれ異なります。光の心が大きい人もいれば、闇の心が大きい人もいるのです。自分の心の中の光と闇を知っていますか。光が闇を覆うように、光の心に目を向けて、光の心を育てることが大事です。闇の心を小さくすることが求められます。心のお話の後、次のように続きます。自分が口にした言葉は、自分の心の中から生まれます。ということは、今自分が口にしている言葉で自分の心の状態が分かるということです。心の状態が光で溢れている人は、周りにも優しい言葉を掛けることができますが、心の状態が闇で暗くなっている人は、周りに傷つく言葉を知らず知らずに放ってしまっています。言葉は、自分の心を表しているのです。言葉一つで人間関係を上手く築くことができ、言葉一つで人間関係を壊すことができてしまうのです。心が言葉となり、その言葉には、良くも悪くもとても強いパワーがあるのです。

 最近の自分の心と言葉について振り返ってみてください。心のとげが言葉となって出てきていませんか。

 講話の最後に高田敏子さんの「水のこころ」を、手話を用いて歌いました。小学校の国語の教科書に載っているので知っている人も多いのではないでしょうか。聖歌集にも載っていますよ。

水はつかめません
水はすくうのです
指をぴったりつけて そおっと大切に
水はつかめません
水はつつむのです
二つの手の中に そおっと大切に
水のこころ も
人のこころ も

 手話を用いて、水も人のこころも強引につかむのではなく、優しくすくい上げ、包むことが大切だと教えてくださいました。この祈りの会では、「水のこころ」だけでなく、「世界に一つだけの花」「幸せなら手をたたこう」など何曲も手話を用いて歌いました。それぞれの手話には意味があり、その意味を知れば知るほど歌の奥深さが分かりました。

 このように、祈りの会でのお話は、何年経っても自分の心の助けとなります。皆さんは、今年の祈りの会でどのような学びがありましたか。同じお話を伺っても、皆同じ感想を持つのではありません。お話を聴いた時の心によって受け取り方が変わってきます。心ひとつで学びの深さは変わるのです。

 学校生活は学びの連続です。カトリック学校での学びを無駄にしないでください。是非、光の心を 1 つ実行してみる、闇の心を 1 つ気をつけるなど自分の心と対話してみてください。

M.D.(数学科)