シスター・先生から(宗教朝礼)

2022.05.25

2022年5月25日の宗教朝礼から

 おはようございます。宗教朝礼をはじめます。

先週、自然探索クラブの方々がプールの倉庫下にある動物の巣にカメラを設置したと聞きました。結構大きな巣です。かわいらしい野うさぎでもいるのかなぁと思いつつ、その野生動物の正体を楽しみにしていました。撮影は成功!翌日、動画を見せていただきました。ちょろちょろとネズミが出てきた後、巣の主と思われる動物が姿を現しました。映っていたのは「アナグマ」です。ほんの数分の動画でしたが、何匹かのアナグマが仲睦まじく生活している様子がうかがえました。この動画について職員室で先生方と話をしていると、蒔苗先生が「アナグマといえばわすれられないおくりものの主人公だ」とおっしゃいました。私も小さい頃によく読んでいた絵本です。あの主人公がアナグマか!と懐かしく思い、動画に映っているアナグマにより愛着が湧いてきました。この週末、私は久しぶりに、「わすれられないおくりもの」を手に取ってみました。
主人公は年老いたアナグマ。賢く、困っている仲間をいつも助け、森に住む皆に頼りにされていました。年老いたアナグマは自らの死が近づいていることを知っていました。しかし、アナグマは死ぬことをおそれませんでした。それは、死んで体がなくなっても、心は残ることを知っていたからです。ある日、アナグマは“長いトンネルのむこうに行くよ さようなら”と手紙を残し、死んでしまいました。アナグマの死を知り、森の動物たちは皆、悲しみました。寂しく、長い冬を越え、やっと春がきました。外に出られるようになった動物たちは互いに行き来をはじめ、アナグマとの思い出を語り合いました。そこで、アナグマから多くのことを学んだと気が付きます。モグラは紙の切り抜き方を、カエルはスケートの滑り方を、キツネはネクタイの結び方を、ウサギは料理をアナグマから教えもらいました。その教えは、それぞれの得意分野として、一人ひとりのたからものとなり、互いに助けあう術となっていました。アナグマは、体はなくなってしまいましたが、知恵や工夫、優しさや思いやりという形でそれぞれの生活や心の中で生きてつづけていたのです。死がテーマであっても、最後には温かい気持ちにさせてくれる絵本、「わすれられないおくりもの」。大人になった今、あらためて読んでみると、この絵本が伝えるメッセージを幼い頃よりはっきりと受け取ることができたように思います。アナグマのように、自分にできることをおくりものとして、他者のために尽くす生き方がしたい、そして、今まで多くの人が私に与えてくれた知恵や工夫、それから、心というおくりものを受け継ぎ、他者に伝えていきたいと感じています。
さて、1865年の今日、5月25日は、創立者聖マグダレナ・ソフィア・バラが帰天された日です。不二聖心では、今週金曜日が聖マグダレナ・ソフィアの祝日。御ミサをささげ、講演会が行われます。この祝日は創立者の生き方や心を思い返し、それが皆に伝わっていく日だと思っています。私は毎年、この祝日にソフィとつながっているという気持ちを再確認します。数日前、彼女が残した言葉を読んでいた時、心に響くものがありました。この内容は今の私にソフィがくれたおくりものだと受け取っています。
   子どもの知的な心は、あの極めて繊細で貴重な花にも例えられるものなのですが、その花が求めている
   溢れるばかりの愛情でお世話するならば、見事に開花し、大きく育つことになるでしょう。それは、物事を
   学ぶに当たってそれに集中し、さまざまな角度から思考を加え検討してみるという習慣を身に着けさせる
   ことになるのです。それは、健全な判断力の基礎になるものですし、それはまた、担任の先生が実にしっかりと  
   授業をした結果生みだされたものであるのです。
                                (『聖マグダレナ・ソフィア・バラ テーマ別書簡抜粋・諸文集』より)
このおくりものを聖心の教員として、現代に生かしていくことは使命であるといえます。生徒という繊細で貴重な花に、授業をはじめ、学院生活の関わりの中でたっぷりと栄養や愛情を与えていき、それが皆さんが生きていく上で必要な土台作りになっていくことができたら、と願いながらこれからの教員生活に力を入れていきたいと思います。
ソフィは、世界中の聖心に関わる人々の心の中で生き続けています。皆さんもソフィの人柄、想い、生き方からたくさんのおくりものを感じ取ってください。ソフィが建てた聖心で多くのことを学び、それをどのように生かしていきたいのか、卒業までじっくり考えてみてください。それがあなたの使命となり、そのソフィからのおくりものは人から人へと受け継がれていき、どんどん広がっていくことでしょう。
これで宗教朝礼を終わります。
Y.O.(保健体育科)