シスター・先生から(宗教朝礼)

2021.11.26

2021年11月24日放送の宗教朝礼から

 おはようございます。これから宗教朝礼を始めます。

 クリスマスも近づき、皆さんは明日からプラクティスを意識して生活することとなります。このプラクティスに関して皆さんは幹事委員の生徒から次のような説明を受けることが多いのではないでしょうか。引用します。
「クリスマスに先立つ4週間をカトリック教会では待降節としてイエス様の誕生を待つ期間としています。
世界各国の聖心では心を準備する手段として、クラスごとに具体的な目標を決め、守り守れたかどうかの結果を何らかの形で表現しています。この具体的な行動に表す精神的な鍛錬をプラクティスと呼びますが、これは聖心ならではのクリスマスの準備です。沈黙や周りの人への優しさを心がけた目標を、心を込めて守ることでクリスマスに向けて心の準備をすることが、プラクティスの目的です。」
 プラクティスはもちろん英語のPracticeからきている言葉ですから具体的なものであることは当然です。昨年のプラクティスも「昼食後の私語の禁止」、「当たり前を良い当たり前に」 「先生を立ってお待ちする」「提出物を期限までに提出する」「授業中の態度に気をつける」「挨拶をする」など多くが具体的、実質的なものでした。一方でこれらの目標を聞きながら、先ほどの説明の中にあった沈黙や周りの人への優しさを心がけた目標、精神的な鍛練、プラクティスはどのように意識すればよいのでしょうか。
 待降節の期間を英語ではAdventと言いますがAdvent Wreath と呼ぶ蝋燭を4本立てたリースをテーブルなどに飾る習慣が欧米にはあります。このリースに飾ってある4本の蠟燭は待降節の4週間を表しています。この4本の蝋燭には諸説はありますが、表している意味があります。
 1本目の蝋燭は「希望」です。「希望」は今年度のクリスマス・キャロルのテーマでもありますが、キリストの誕生を待ちわびた人々の気持ちを表しています。コロナ禍の行動制限、マスク生活、分散登校、オンライン学習など、私たちも約2年間不自由な生活を送ってきました。元の行動制限がなく、感染の恐れから解放された生活に戻りたいという気持ちがあるならばこのシンボルが理解できるのではないでしょうか。
 2本目の蝋燭は「平和」です。クリスマス・キャロルでも朗読される聖書ルカ2章、14節には「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心に適う人にあれ」とあります。キリスト教における「平和」とは単に戦争がないことを指すのではなく心の平和を保ち、より良く豊かに生きることとも言われています。
 3本目の「喜び」は待ち望んでいたキリストの誕生を表しています。私たちも様々な形で何かを待ち望んでいます。生まれてくる赤ちゃん、良い知らせ、コロナ禍でずっと会えなかった友人、家族に会うこと、など喜びは様々です。けれども、今置かれている状況が思い通りでなかったり、自分が持っている物がみすぼらしく見えたり、または周囲の人々の言葉や態度で喜びを奪われたり、4本の蝋燭の中では一番簡単に吹き消されてしまうものかもしれません。けれども聖書には「いつも喜んでいなさい。」とあります。小鳥のさえずり、美しい学校の紅葉、友人たちの笑顔に喜びを見出すこともできるはずです。
 最後の蝋燭は「愛」です。聖書には「愛」に関する言葉がたくさんありますが、今日はルカによる福音書10章27を引用します。「隣人を自分のように愛しなさい。」これも難しいですね。けれどもあなたの周囲の人々、接する人々、困難にある人々を自分のことのように気にかけてみてください。先日、皆さんが丁寧に手作りのクリスマスカードや勤労感謝のカードを作る姿から皆さんが周囲のために心を尽くし、思いを尽くしているのだと感激しました。小さいこと、でもそれらを心を込めて丁寧に行うこと、これも誇れる大切なことです。
 2年続けてクリスマス・キャロルを学校全体でお祝いすることは叶いませんでしたが中3以上の生徒は講堂でキャンドルサービスを行ったことを覚えていることと思います。キャンドルに灯りを灯し、苦しいことを耐え、皆に幸あれ、平和あれと願う瞬間、心は温かく、喜びに満ちていたと思います。クリスマス・キャロルを皆で集ってお祝いできない今だからこそ、これからの4週間を精神的に豊かな日々になるよう実践し、周囲の人々、苦しんでいる方たちに希望、平和、喜び、そして愛をと祈り、暗闇に光をともすOne Little Candleとなって精神的なプラクティスに励み皆で灯りをともしましょう。 これで宗教朝礼を終わります。
Y.S.(英語科)