シスター・先生から(宗教朝礼)
2019.09.25
2019年9月25日放送の宗教朝礼より
最近の台風被害は、皆さんの中でまだ風化されていないことでしょう。私たちは、夏休み明け初日に激しい雨が降る中、防災訓練を行いました。ちょうど同じ時期に起こった8月の九州北部豪雨は、福岡県、佐賀県、長崎県の3県に「数十年に一度の災害の恐れ」がある、警戒レベル5に相当する大雨特別警報が発令されました。原因は、台風11号であった低気圧がもたらした温かく湿った空気と、秋雨前線がぶつかったことで発生した線状降水帯によるものです。佐賀県武雄市では、市街地の約4割が冠水し、街は一面、湖と化しました。市の中心部を走る国道も水没し、アパートの駐車場に止まっている車は、フロントガラスの上部まで浸水し、屋根の部分がかろうじて見えていました。鉄道も寸断、線路が泥水に覆われて見えなくなってしまっていました。さらに、工場が冠水し、タンクから油が流出し、油の混じった黒い泥水が近くの住宅地や田畑、病院まで流れ込みました。鼻につく油の臭いが追い打ちをかけるように人々を苦しめていました。
台風11号から2週間も経たないうちに、台風15号が関東に上陸しました。首都圏の鉄道各社が計画運休を行い、学校も休校になりました。台風15号は、静岡県や首都圏に多大な被害を及ぼしましたが、その中でも千葉県内の被害は甚大です。住宅の屋根や壁が飛ばされ、窓ガラスが割れ、今も多くの屋根にブルーシートがかかっています。雨漏り被害も後を絶ちません。さらに、電柱が根本から折られ、大規模停電を起こし未だに停電や断水が続いている地域もあります。大雨の後は、季節外れの残暑に見舞われました。農作物への被害も甚大で食糧不足も問題の一つです。
それに追い打ちをかけるように、一昨日の月曜日には大型の台風17号が九州北部や中国地方に接近し日本海を北上しました。日本各地の被災地を強風と非常に激しい雨が再び襲いました。長崎県では、「50年に一度の記録的な大雨」と発表されました。この影響により電柱がなぎ倒され九州では停電も発生しました。千葉県でも南風が強まり、災害復旧作業が難航し、さらなる停電の被害も報告されました。
政府は、8月に起きた九州北部での記録的な大雨による被害と台風15号による千葉県での被害に、助成や財政援助を行うため激甚災害に指定する準備を進めると発表しました。
このように、被災地の方々の事を考えると、私たちが今、ここに集えていることは当たり前ではありません。私たちは、寒さ暑さ、雨風をしのげて、布団の上で睡眠をとることができます。朝昼晩と時間になれば食事をとることもできます。飲み水も十分にあります。トイレの水が流せない心配もありませんし、疲れた体をお風呂でゆっくり癒すこともできます。友達と笑って話をしたり、喧嘩をしたりすることもできます。さらに、停電の心配もないので、暑い時にはクーラーを稼働させ、好きなだけスマートフォンや携帯電話も使うこともでき、テレビも見ることができます。学校にも通うことができ、大変だと言いながら前期期末試験に向け勉強することもできます。
昨日から3日間、温情の会委員会を中心として、8月九州豪雨のための募金活動が始まりました。学生の皆さんは、「高額な寄付=募金」でないことは分かっていますよね。皆さんにとっても募金活動とはどのようなものでしょうか。昼食で飲もうと思っていたジュースを冷水器の水で我慢してその分を募金したり、お菓子を買うのを我慢してその分を募金したりするなど、自分の貰っているお小遣いと相談して募金を行います。しかし、私は学生の募金活動の真の目的は、お金を寄付することではないと思っています。何かを我慢して募金をすることにより、今お話ししたように被災地の人の事や、被災地の現状を想像し、思い、今自分にできる事は何かを考えること、これこそ学生の皆さんにとっての募金活動ではないでしょうか。
被災地の現状を考えたら、私たちは今ある幸せに感謝しなければなりません。暑い、寒いと自分勝手な発言をしたり、何事にも不平不満を言ったりしていませんか。好き嫌いを口にして、食べ物を粗末にしていませんか。無くなってから今の幸せに気付くのではなく、幸せに暮らしている今だからこそ、その幸せに十分感謝して日々の生活を過ごしてください。
もう一度考えて見てください。私たちに今できることは何でしょうか。私たちの募金活動は大海の一滴に過ぎませんが、見えない人のことを思うことはとても大切なことです。
最後になりますが、台風の被害により被災されました方々に心からお見舞い申し上げます。一日も早く元通りの生活が取り戻せるよう、心よりお祈り申し上げます。
M.D.(数学科)