シスター・先生から(宗教朝礼)
2019.07.03
2019年7月3日放送の宗教朝礼から
先週の、みこころの祝日では、誰かのために自分を使うことを実感できたでしょうか?中学1年生にとっては、難しかったかもしれませんが、上級生になるにつれて、骨惜しみせず奉仕させていただくことに喜びを見出すことが分かってきた人が多いのではないかと思います。
前日には、高校3年生が学院を装飾してくれました。下級生のみなさんは、朝登校して教室の変身ぶりに驚いていましたね。忙しい生活の中、限られた時間の中で、どうしたらそのクラスの下級生が喜んでくれるか、知恵を絞り、時間を作り、工夫を凝らして、飾ってくださいました。クラブ活動の後のたった1時間少しの時間で、チームワーク良く、生き生きと働き、装飾を仕上げていく高校3年生は、自分の働きが誰かの喜びになること、人の喜びが自分の喜びになることを知っている姿でした。
今年の学院生活も間もなく3分1を迎えます。学校目標「知性を磨く、Design your future」について、皆さんはどのくらい深められているでしょうか? your future と聞いた時、あなたにとってyourは何を指しますか?「あなた一人」「私自身」のことでしょうか?自分の未来をデザインすることはもちろん大切です。中学1,2年生であれば、基本的な学習習慣を身に着けること、お友達・上下級生と上手に関わることを身につけていくことも含まれるでしょうし、中学3年生以上は、卒業研究を含め、自分の「問い」を自分なりに深めていく、自分がどんなことに興味関心をもち、どんなことに自分の未来を使っていきたいのか、を考えていくことも大切です。
しかし、もう一歩、your を複数形と考え、私の未来ではなく、“私たち”の未来にも向けられていると考えてみてください。私は私一人では生きていません。家族、親友、クラスの仲間、上下級生、学校・寄宿・習い事などの先生、さまざまなつながりの中で生きています。周りの未来もより良くなるような、あなたの関わり方とはどんなものでしょうか?
数年前、 社会人経験を数年積んだ20代半ばの卒業生を対象に、「不二聖心で学んだことは何か」聞いたことがあります。ある卒業生は次のように答えてくれました。
「私が聖心の学校で学んだことは、自分のことがあとまわしになっても、弱い立場の人のために手をさしのべることができるようになったことです。そして、今の私は、たとえ自分が弱い立場の人間だとしても、自分よりもっと弱い立場の人のことを考えて行動することができます。」
社会に出て、さまざまな価値観の人と出会う中でも、「他者のために行動しようとする」生き方の軸がぶれていない、むしろその生き方の大切さを、改めて気づいてくれている卒業生の姿は、嬉しいことです。
不二聖心の生徒は、日々の学校生活、祈り、奉仕活動、大小さまざまな学校行事を積み重ねて、本当に大切なものとは何か、ぶれない価値観を自分の根底に積み上げながら、他者のためにも生きようとする「聖心の生徒」になっていきます。まずは、身近な家族のために小さなことでも何か喜んでもらえることをやってみる、クラス・寄宿・クラブ活動・委員会・掃除などの日常生活の中でいつもより少し自分を使って行動してみる、友達のために何か励みになる言葉かけをしてみる、仲良くなれない・自分には相いれないと壁を作ってしまった誰かのために少し自分が変わって関わってみる。。。日々の生活で、求められることに一生懸命向き合いながら、自分の生き方の根っこになる価値観を育て、小さな一歩でもよいので「私」のためだけでなく、「私たち」にとってより良いことをできるように、願っています。
T.H.(英語科)