シスター・先生から(宗教朝礼)
2019.05.15
2019年5月15日放送の宗教朝礼から
おはようございます。これから宗教朝礼をはじめます。
毎年4月、全職員が集う最初の日に、新年度の職員ミサが行われます。創立者マグダレナ・ソフィア・バラの建学の精神に基づき生徒たちが充実した学校生活を送り、着実に成長できるように、また、それを教職員の私たちがサポートしていくことのできる共同体でいられるように願って行われています。
今年度、御ミサの中の奉納の歌が、「私をお使いください」でした。これは、マザー・テレサの日々の祈りとも言われています。「主よ、今日一日、貧しい人や病んでいる人を助けるために、私の手をお望みでしたら、今日、私のこの手をお使いください」という祈りの歌。2番からは、友を欲しがる人びとを訪れるために、私のこの足をお貸しいたします。優しい言葉に飢えている人々と語り合うために、私のこの声をお使いください。どんな人でも愛するために私のこころをお貸しいたします。と続きます。聖歌を歌っている時、優しいメロディーとマザー・テレサの生き方や想いが表れている歌詞に深く心を動かされ、涙が出てきました。手も足も声も心も、必要としている人がいたらさっと差し出すことができたら、また、他者を助け、関わるためにそれらを自ら使うことができたら、平和で溢れた世界になるでしょう。皆さんは、一日のなかで何のために手足を動かし、どんな言葉を発することが多いでしょうか。どんなことで心を動かされ、どんなことに心を使っているでしょうか。多くのものの自動化、機械化が進むなか、手や足を動かし、働くことはますます意味をもつようになっていると思います。そこには誰かのためにという愛情や心がともなっているからです。メールやSNSでの会話が増えている現代、人を励ますために直接言葉を伝えることが求められると思います。そこには、文字だけでは伝わらない温かさや優しさに気づけるからです。昔と比べて、人と人との関わりが減ってきていると感じる今、相手のことを想い、嬉しいことも悲しいことも分かち合う時間や心を増やせていけたらと思います。そうすれば、より一層、人と人との絆の強さが生まれるからです。御ミサの中のマザー・テレサの祈りから、私は一人の教員としてどのように人のために手足や声、心を使って生活していこうかと考えながら今年度をスタートさせました。
マザー・テレサについては、小さい頃から学校の先生の話や本などを通して知り、偉大な人だと思っていました。どんな人も愛を持って包み込み、献身的に関わる姿、そして、多くの人と関わり、多くの経験をしているからこそ残せる言葉の数々から、私の尊敬する人の一人となりました。しかし、今、その時の気持ちを思い返してみると彼女のような生き方は彼女だからできること、私には真似はできないと勝手に思い込み、彼女の行いに近づくことすらしていなかったと気がつきました。“人のために自分を使うこと” この言葉の通りに生きることはこういうことなのだと身をもって知ったのは、恥ずかしながら不二聖心に来てからのような気がします。自分たちのことだけでなく、出会ったことのない人のために心を使って祈ることや奉仕活動やボランティアで体を使って尽くすこと、日々の生活の中で忙しくしている人に、何か手伝いましょうか?と声をかけること…不二聖心では当たり前のことのように行われている行動が、人のために自分を使うことだと感じています。私は今まで、生徒の皆さん、シスターや先生方からいただいた寄り添った言動に何度も救われました。寄り添っていただけているということがどれだけ人の助けになるか、不二聖心で過ごすようになってからよくわかりました。聖心で生活している人は、周囲への気遣いや細やかな心配りができる人が多いです。(18歳のプロファイル1-14)それは、キリストを知ることによって、「人に尽くす」という生き方に価値があると分かり始めているからだと思います。(18歳のプロファイル1-5)これをしなさいと言われてするのではなく、それをすることが当たり前である環境が不二聖心にはあり、さっと動ける実行力が気付かないうちに養われているのです。
定期訪問などの奉仕活動の中には、そこの施設を利用している方々と交流する時間があります。最初は何を話したらいいのだろうと戸惑う人が多いかもしれません。私も中学生くらいの時はそうでした。上手に話をしなくてはとかこの話をしても伝わらなかったらどうしようなどという不安がよぎっていました。何か行動に移さなくてはと思っていても、勇気がでないときもありますよね。「ありのままで愛されるためには、ただ心を開くだけでいいのです」というマザー・テレサのお言葉があります。心を開くということ。私は、人と話をするときに心掛けるようにしています。人のために働くとき、たとえそれがうまくいかなくても、心を開いて行動し、心を開いて話をし、心を開いて相手の話を聞くことができれば、自然と気持ちは伝わるものです。奉仕活動をはじめ生活のなかで人と関わるときに、意識してみてください。
どんな時でも相手の立場に立って、人のために自分を使い、心を開いて接していきたい。そして、不二聖心の教員として、人のために働くことに喜びを感じられる子どもたちを育てていこうと気持ちを新たに今年度も歩んでいきます。
(保健体育科 Y.O)