シスター・先生から(宗教朝礼)

2017.10.25

2017年10月25日放送の宗教朝礼から

  不二聖心のシンボルは何と言っても本館の塔です。学校の中心に、心の拠り所となる聖堂があり、祈りをささげられる場所がある。何と素敵な学校なのでしょう。

 少し前に、お客様をご案内して聖堂をお見せしました。すると「落ち着きますね。学校にこういうところがあるというのは羨ましいですね。」と言われました。
あらためて考えると、不二聖心の1日の始まりはタワーベルを聴き、朝のお祈りで始まり、終礼のお祈りで終わります。祈ることが毎日の生活の中に、自然にあります。私は信者ではありませんが、毎日タワーベルを聴くたびに「今日も一日無事に過ごせますように。」と祈ります。
 祈りとは何なのでしょうか。
 身近なことから始めて周りに目を向けていきます。祈りとは、自分を振り返る機会であり、周りを見つめ直す機会でもあると言えます。そして、祈りは無限大の捧げものなのだと思います。
祈りとは信じて願うことだと思います。
 ところで、皆さんは「メイク・ア・ウイッシュ」という活動を知っていますか。
英語で「願い事をする」という意味ですが、難病と闘う子どもたちの夢をかなえるボランティア団体のことです。3歳から18歳未満の難病と闘っている子どもたちの夢をかなえ、生きるちからや病気と闘う勇気をもってもらいたいと願って設立されたものです。
 今日は、この活動で夢を叶えた、林祐樹さんを紹介したいと思います。
 林さんは現在30歳で、放射線技師をしています。
 14歳で骨肉腫という骨のがんになり闘病生活をしていました。17歳の時、「本場アメリカの野球の試合が観たい!」というウイッシュ〔夢〕をこの活動でかなえてもらいました。
当時、林さんは、進路に関しても自分の病気の発見をしたレントゲンやCT、MRIなどに興味をもっていましたが、身体に不自由がある自分には就けない職業と考えていたそうです。彼は、治療の影響で肩に障害があり、腕があがりません。そんな時に「本場アメリカの野球が観たい!」という叶うはずがないと思っていた夢が、この活動で実現してもらえてからは、「なんでもやってみないとわからんな」と思えるようになったそうです。そして、自分で最初からできないと決めつけてはダメだと考えるようになり、周りの人の支えがこんなに勇気を与えてくれるものだと気づいたそうです。また、何事にもポジティブに考えられるようになったと言います。今でも不便なことはたくさんあるそうですが、「できない」ではなく「やってみよう」と考えられるようになったそうです。この心境の変化は夢が実現したことがきっかけと話しています。そして、放射線技師という夢の実現に向けてあきらめずに努力ができたそうです。
 林さんはメイク・ア・ウイッシュのHPのメッセージでこう語っています。
『メイク・ア・ウイッシュは「人生を変えた」というと大げさにきこえるかもしれませんが、これからの進路の時に夢の実現があって今の自分があるので、人生を変えたと思います。メイク・ア・ウッシュの活動は、「夢をかなえてくれる」と認識されがちですが、僕は「次の夢を与えてくれる」と感じています。夢がかなったから終わりではなくて、次の目標や夢を持つことの大切さを気づかせてくれたことがとても大切だと感じています。
病気にかかっている子どもだけでなく、健康な人も、夢や目標を持っている人は輝いて見えるように、夢は生きる力になると思います。夢をかなえるためにはどうしたらいいか自分で考えたり、そうやって自分が夢に向かって進むことで周りの人たちも関わってくれたり、そう考えると夢には本当に人を動かす凄いパワーがあるんだなと感じます。そのためには、自分がまず行動しないといけないと思います。夢は実現して終わりではなく、次の新しい夢への始まりだと思います。』と語っています。
 私も、夢は叶えるものだと思います。
 夢は何もしないで自然に叶うものではなく、自分で努力して叶えるものだと思っています。
夢に向かって努力することで、周りもその実現に向けた支えをしてくれるようになります。
試行錯誤して努力するその姿勢が、素晴らしいことだと思います。前向きに頑張っている姿は、輝いて見えます。最初からあきらめたら、そこで終わりです。自分の可能性を信じることが大切です。
「花を支える枝、枝を支える幹、幹を支える根、根はみえねんだなあ」これは相田みつをさんの詩です。
花を咲かせるには枝が大切で、枝を伸ばすには幹が大切で、幹を大きくするには根が大切。その根は地面の中にあり見えない。樹は水や肥料や土、場合によっては過酷な環境によって花や実をつけます。
人も同じで基礎となる力がないと、大きくジャンプはできません。目には見えないけれど、「大切なもの」それが力となって人は成長していくのだと思います。
でも、だからと言って、そのために自分だけが特別で優先されるべきではありません。きちんと周りが見えていないと夢が叶っても、それは本当の幸せにはつながりません。心の貧しい人になってしまいます。夢は、自分で叶えるものですが、それは周りの支えがあってこそ成り立つのです。周りへの感謝と思いやりの気持ちは人として、絶対に必要です。
 私も60歳になりましたが、夢は持ち続けたいと思っています。皆さんも常に夢を語り、夢を持ち続ける人になって欲しいと思います。期待しています。
 これで、宗教朝礼を終わりにします。
保健体育科(Y・H)