シスター・先生から(宗教朝礼)

アレ、これは誰の声かな？と思っていらっしゃるでしょう。私はこの不二聖心の山の上に住んでいる聖心会修道院のシスターです。私たちシスターは１１名がここに住んでいまして、遠くからまた近くから、いつも皆さんたちのために祈っています。

さて、きょうは皆さんの今年の目標である　CLIMB EVERY MOUNTAIN 　という素敵な歌から思い出す話をしたいと思います。私があなたたちと同じように不二聖心の生徒として入学したころは、校舎も寄宿舎も修道院も、全部この山の下の麓に建っていました。ところが入学間もなく、山の上に新しく、まず修道院そして高校校舎と寄宿舎が建てられました。

一方、中学校、小学校はまだ山の下にあったのです。ですから先生・シスター方や高校生たちは、まさに山の下から山の上へ登る毎日が始まりました。

当時の道は、現在のスクールバスが通る，あなたたちが知っている上の道ではありません。またマラソンなどの時に走る、竹林のある学校の裏の道でもありません。今のマリア館である図書館やお茶室のあたりから真下に伸びていた、けわしい山道でした。

ある日、私は何人かの人たちと、その山道を登ろうとしていた時、頂上の方に高い空が明るく見え、誰かが居そうな気がしました。そこで大声で　ヤッホー　と呼びかけると、高くうっそうと繁った杉の木の上のほうから　ヤッホーと、私に返ってきました。その時すかさず、そこにいらした英語の先生であるシスターが「あなた、ヤッホーの意味をしっていますか？ヤッホーとは　you who ? あなたは誰？と言っているのですよ」とおっしゃったのです。あなたは誰？と聞くと、そういうあなたは誰なの？と返ってくるヤマビコのことです。ヤマビコの語源として本当かどうかは解りませんが、私はとても聖心らしいチャレンジを受けたなーと思い、今でもよく覚えているのです。

「聖心で学ぶ」ということは、ヤマビコのように、あの高い山に向かって神様とは誰？イエス様とは誰？　マリア様とは？・・・と尋ねるのです。そうするとそう言う「あなたは誰？」と聞き返してきます。私とは誰なのか？　すこし大人っぽく表現すると“人間とは何者か、どこからきて、どこへ行くのか。”その答えを見つけるために、いくつもの山を登らなければなりません。目に見えない心の中の山にも、そして現実的な学問の山々、数学や国語という難しい山にも登り、英語や歴史をたどる道を歩き、理科や家庭科という科学的な山登り、そして、もちろん体をきたえるスポーツの山にも挑むのです。まさにCLIMB EVERY MOUNTAIN です。

こうして、私はここ聖心での生徒の毎日が始まったのです。友達と一緒におしゃべりをしながら、またある時は下級生たちを連れたり、いつもそばにいらした先生やシスター方と登ったりする山や道がありました。風の音に驚いたり、石ころにつまずいたり、歌を歌いながら、かわいい花を見つけたり、モリアオガエルをさがしたり、鳥の声に耳をかたむけたり、見える山も、見えない山も、沢山あり、歩いた道は遠くつづいていました。そしてフト見上げると、美しい富士山がそびえているではありませんか！

聖心の創立者、聖マグダレナ・ソフィアはシスターたちに「生徒たち一人ひとりを知っておられ、ここに呼び集められたイエスの愛のみこころについて教えなさい。」この大切なことを教えるために「私は一人の子供のためにも、学校を建てましょう！」とおっしゃいました。そして聖マグダレナ・ソフィアは、現代に生きる私たちの近くに、いつもおられるのです。

もう１つ大切なことは、こうして、いろいろな山登りをして、橋をわたり、道を歩く私たちにとって、「毎日が新しい」ということです。決して同じ山、道、橋ではありません。楽しく快適に登った日もあり、苦しく泣きながら歩いた道もある、転んで失敗したときもあり、元気いっぱい、ヤッタ～という感動の時もあります。

同じ日は決してなく、しかしいくつもの山々を登り、道を歩き通したその努力の結果は、この私を確実に「成長」させてくれています。神様はそのあなたを祝福してくださっています。

中学１年生は自信に充ちみちている中２の上級生たちを見てください。中２の生徒さんは中３の頼もしい姿を、中３は進学なさってはつらつとした姿の高校１年を、高１の皆さんはさわやかな上級生の高２の皆さんを、そして中高生の皆さんは、堂々として、かつ優しい最上級生のリーダーである高３の皆さんに続いてください。

校長先生を始め、教職員の先生方、シスターたちは、それぞれの山を登るあなたたちと共に、先頭に立ったり、後ろからはげましたりなさりながら、いつも近くで皆さんと一緒です。どうぞ皆さん、お励みください。

M.Y.（宗教科）