シスター・先生から(宗教朝礼)

2015.10.28

2015年10月28日放送の宗教朝礼から

 秋のつどいが近づいてきました。みなさんもあわただしい毎日を送っていることでしょう。高校時代は書道部、大学時代には茶道部やピアノサークルなどに私は所属していたので、文化祭や大学祭の準備の忙しさを懐かしく思い出します。
今日は、大学の同窓会での出来事をお話したいと思います。
私は大学では国文学を学びました。小さな女子大で、国文科の同級生の数はわずか34人。仏文学科や中文科だと、なんと5名とか7名という本当にこじんまりとした大学でした。同級生とも密接なつながりがあり、学科の先生方からも丁寧であたたかいご指導を受けることができました。
さて、大学を卒業して20年以上過ぎた私たちですが、国文科では1年おきに同窓会を開いています。出欠のはがきには近況を記す欄があり、毎回それが冊子になって、全員に郵送されます。大学卒業後ほとんど会っていない友人の現在が垣間見え、とても楽しみにしています。卒業したばかりのころは、ほとんどの人が仕事の大変さを述べていましたが、次第に変化していきます。研究を続けている人もいれば、結婚して家庭に入る人が出てきたり、仕事と家庭の両立に悩む人もいたり、はたまた転職したりする人もいて、生き方もさまざまになっていきました。最近では、子育てが終わったという人もいれば、まだ小学低学年の子どもを育てている人もいます。管理職として活躍している人、ブランクを経て再び働き出した人、親の介護をがんばっている人など、文字通り「人生いろいろ」なのです。
今回は、久しぶり――おそらく20年ぶりに――同窓会に出席しました。みなそれぞれによい年齢を重ねていましたが昔の面影は残っていて、楽しく会話が弾みました。食事が進んで、一人ひとりが近況を報告し始めました。
その中で、心に残るお話がありました。一つは横浜に住むKちゃんのお話です。彼女は、なんと横浜の地区奉仕活動先「朋」で、時々働いているのだそうです。私が不二聖心に勤めていることを確認すると、「毎年、不二聖心の中学生が実習に来ていて、とってもよく働いているよ」とほめてくれました。思いもよらぬところでつながりを知り、みなさんのこともほめてもらって、とてもうれしくなりました。
そしてもう一つは、Mちゃんのお話です。彼女は大手通信会社の総合職として就職し、結婚・出産後も勤め続けて、現在は関東地方のある営業所の所長として働いているそうです。高校2年生の息子さんの部活をそっと応援に行ったりする優しいお母さんでもあります。仕事の面では女性の所長はやはり数は少ないらしく、大変なことも多いようですが、彼女のお話にはいたるところに「感謝」という言葉が出てきました。今、自分が置かれているポジションになったことはお客様のおかげと周りの人たちの支えによってであること、よき部下たちの働きで営業所が運営されていること、大雨などで通信が途絶えると雨の中、作業員さんたちが総出で電柱にのぼり、復旧に当たるのだそうです。その作業員さんたちの献身的な働きに対する感謝。彼女の言葉は具体的で、その気持ちが本物であることがとても強く伝わってきました。大学時代の彼女は明るく楽しい人で、アイディアにあふれた人でした。卒業後、仕事に打ち込み、熱心に働いたからこそ、今のポジションになっているのだと思うのですが、彼女の口からは謙虚な言葉しか出てこないのです。社会人として過ごす日々が彼女をより魅力的な人へ変えたのだなと本当にうれしく、とても感動しました。
私たちはさまざまな人に助けられ、導かれて生きています。私自身は家族、隣に住むMさん、向かいのKさん、もちろん不二聖心の先生方やあなたたち生徒、……それぞれの人たちから教えられたり、助けてもらっています。教師と生徒としてだけでなく、あなたたちの姿から教えてもらうこともいっぱいあります。私は不二聖心で過ごす中で学んだことの大きなものは、人やものごとのよい面を見出すこと、そして感謝の気持ちを素直に表現することの大切さです。
みなさんも思い浮かべてみましょう。あなたの周りにはどんな人がいますか?そして、どのようにあなたを支えてくださっているでしょうか?その人たちのすごいな、いいなと思うところはどこですか?その姿からあなたも自分自身を高めていきましょう。そして、気持ちを素直に伝えられる人になってほしいなと願っています。


                                                                  M.H.(国語科)