シスター・先生から(宗教朝礼)

2015.05.13

2015年5月13日放送の宗教朝礼から

 最近のニュースで、日本の文部科学省が世界文化遺産として登録申請をしていた「明治日本の産業革命遺産」が、このほど登録勧告を受けたというニュースがありました。これは福岡県、長崎県、山口県など8つの県に存在する、製鉄や鉄鋼、造船、石炭産業などの構成資産が日本の明治時代の産業革命を示す歴史的価値が世界遺産としてふさわしいと、認められたからです。この中の構成資産の一つに、静岡県内では伊豆の国市の韮山反射炉があります。韮山反射炉は我が国に現存する近世の反射炉としては日本には山口の萩にあるものとの2つのみです。韮山反射炉は、実際に稼働して鉄を作り、その鉄で大砲を作った反射炉として日本ではただ1つの貴重なものです。1857年に作られてから150年以上前のものが残っています、機会があれば一度見てください。現在、イコモスという諮問機関がユネスコに登録がふさわしいということで登録勧告をしました。正式に世界文化遺産として登録されるかは6月の下旬まで結論は先送りですが、登録されれば日本の19番目の世界遺産になります。
世界遺産というと世界重要農業資産システム(Globally Important Agricultural Heritage Systems : GIAHSジアス) 、通称「世界農業遺産」というものもあります。国連食糧農業機関というところが2002年から登録を始めました。日本ではこれまでに「トキと共生する佐渡の里山」「能登の里山・里海」「静岡の伝統的茶草場農法」など5つが認定されています。静岡の茶草場農法はお茶どころの、掛川市、菊川市、島田市、牧之原市、川根本町などで行われている伝統的な農法です。お茶畑の周辺にある草をとるための草地で、秋から冬にかけて農家がススキやササなどを刈り取って、茶園のお茶の木とお茶の木の間にそれらの草を敷く農法です。草を敷くことにより、草は枯れて腐りやがて自然の堆肥に変わりお茶の味や香りが良くなるということです。また、地面が草で覆われるため雑草も出にくいということで一石二鳥の効果が得られるようです。
5月の連休の頃はお茶摘みの時期にあたります。私も毎年知り合いのお茶畑の収穫・お茶刈りを半日手伝うのか恒例になっており、製茶したお茶を分けてもらっています。しかし、今年はお茶刈りができませんでした。それは茶畑の手入れをしていた方が高齢となり1年間茶畑に手を掛ける人がいなかったからです。今年は来年の収穫を目指して、茶の木の伸びすぎた枝を元の形に刈りつめたり、雑草を抜いたりと1年間ほったらかしだった茶畑の再生に汗を流しました。こんなことがあるまであまり意識しなかったのですが、お茶畑の形がいつ見てもあまり変化していないように見えるのは、年に数回上からまた横からお茶の木を刈り込んでいたり、草刈や草取りをしてさらに肥料なども与えるという、考えてみれば当たり前の作業を1年間の折々にしているということです。来年の新茶のために、これから1年間可能な限り手伝いに行き、お茶刈りまでしようと思っています。
中学生のみなさんは不二農園のお茶畑で今年もお茶摘みをするでしょうか。その時にはぜひ農園の方が1年間丹精込めて手入れしたことに感謝の気持ちを持ちながらお茶摘みをしてほしいと願っています。

S.S.(理科)