シスター・先生から(宗教朝礼)

2014.11.12

2014年11月12日放送の宗教朝礼から

 秋のつどいでは多くのお客様がおいでになり、みなさんの展示や発表を見てくださいました。卒業生もたくさんいました。みなさんも知っている卒業生もいれば、雰囲気から卒業生と感じ取れる方もいらっしゃいました。私も何人かの卒業生と話をすることができました。在校時の面影が残っていてすぐに分かる人もいれば、ずいぶんと大人びてきれいになったなと感じる人もいました。でもどの人も不二聖心での日々を大切にしていることは共通しています。後輩であるあなたたちの姿を温かい目で見てもいました。そして、ちょっとびっくりしたことがありました。それはある卒業生が言った言葉です。
「後輩たちのために、不二聖心の卒業生として胸を張れる存在でありたい」
一緒にいた同級生もウンウンとうなずいていました。だれにでも母校は存在しますが、私自身が母校に今在籍している後輩たちに対してどのような先輩でありたいかなどと、考えたことは、恥ずかしながらありません。でも、不二聖心の卒業生は違います。どの卒業生も後輩のあなた達を心にとめて、よい先輩でありたいという気持ちを持っています。私はそんな卒業生のいる学校の教師でいることが本当にうれしくなりました。
みなさんも、卒業生にそのように思ってもらえるのはうれしくありませんか?不二聖心が多くの方に支えられている学校なのだと感じる出来事でした。

カトリックの学校として聖心では、イエス様のご誕生(クリスマス)と4つまえの日曜日から始まるクリスマスを準備する期間(待降節)をとても大切にしています。サンタクロースとプレゼント、きらびやかなイルミネーションという日本で一般的なクリスマスしか知らなかった私には、不二聖心で「静けさ」を大切にしてイエス様のご誕生を待つこと、「プラクティス」を通して私たちの心を静め、祈りの心を高めることは驚きでもあり、クリスマスの本当の姿を知ることにもなりました。
プラクティスをどのような形であらわすかも、私には経験したことのないことでした。自分たちの行いや気持ちを形に表すことがどのような意味を持つのかも、はじめはわかりませんでした。でも、毎年いろいろのクラスがアイディアを凝らしたもので表しています。プラクティスが守れたら、ビンの中に紙で作った星を入れていく。美術で作った作品に飾りを加えていく。キャロルでお捧げされたプラクティスを見ると、立派さや豪華さが大切なのではなくて、ささやかでも、素朴であっても心のこもったものには祈りの心が宿っているのだと気づくようになりました。
何より、プラクティスについての話し合いが一番大切なのではないかと、私は思うようになりました。L.H.R.で自分たちに必要なこと、課題は何かと考えること。イエス様のご誕生を迎える心の準備として何がふさわしいかと思いをめぐらすこと。みんなで話し合い、最もよいものは何かを考え、出てきた案を統合させたり、新しいアイディアが追加されたり、この行い自体が大切なのではないでしょうか。表し方を考えるときにも、お金をかけなくてもどうしたら美しく表現できるか工夫したり、自分が持っているものを提供したり、飾りを毎日毎日作っていたり、生徒たちの柔軟な発想と積極的に協力する姿を見てきました。中学生にとっては、一人ひとりが深く考えて自分の意見を発表し、仲間の意見を受け入れる場として、また高校生にとっては(もう何回もやっているから)と思うかもしれませんが、こんなふうに真剣な話し合いをする場はおそらく今後は訪れないと思うのです。仲間と、ある意味、利益にはつながらないようなことに自由に意見を出し合い考える、そんな機会は来ないのではないのでしょうか。
今、世の中は大きく揺れています。あなた自身が、あるいは身近なところでつらい思いや悲しみを抱えている人がいるでしょう。大きく見ていくと、豊かとされる日本に存在する貧困、被災地の人々の悲しみ、中国や韓国との必ずしも良好といえない関係、隣国との紛争や火種を抱えた国は多くあります。エボラ出血熱の拡大や医療従事者までもが感染する恐怖、知らないうちに勢力を広げ正体のなかなか分からないイスラム国など、数え上げるとキリがないように思われます。これまでの秩序が無視され、崩壊されるような思いもあります。見えない不安が私たちをより不安にからせます。私たちのできることは数少ないけれど、関心を持ち続けることは大事です。怒りや憎しみは負の連鎖しか生み出しません。祈りの心が希望につながっていくのです。今日のプラクティスの話し合いがよいものとなるよう願っています。

明日は球技大会、中三卒業研究の面接、聖フィリピン・ドゥシェーン祝日、学校説明会、追悼ミサ、後期中間テスト、クリスマス奉仕、キャロル。本当に多くの行事があります。自分のすべきことをきちんと行い、周りに心を配る。身近なところにも世界にも目を向けましょう。不二聖心の先輩方があなたたちに恥じない生き方をしようとしています。あなた方も名前も顔も何にも知らないけれど、同じ不二聖心で学んだという先輩に対して、後輩ですと自信を持っていえるような生き方をしましょう。
                                                                            M.H.(国語科)