シスター・先生から(宗教朝礼)
2014.10.29
2014年10月29日放送の宗教朝礼より
ただいまから宗教朝礼を始めます。今日は,カトリック教会に伝わる秘跡についてご紹介したいと思います。
すでに知れ渡っていることですが,どうぞお聞きください。
「秘跡」とは何でしょうか。
『カトリック教会のカテキズム 要約』によりますと,
「諸秘跡はキリストによって制定され,教会に委ねられた,恵みを実際にもたらす感覚的しるしです。これによって神のいのちが私たちに豊かに注がれます。秘跡は7つあります。すなわち,洗礼,堅信,ゆるし,病者の塗油,叙階,結婚です。」と書かれています。
それでは,これらの秘跡を身近に感じていただくために私とご一緒に,教会の聖堂の中に入ってみましょう。
入り口の扉をぐっと押し開けると最初に目に飛び込むのが,整然と並んだベンチの前方の祭壇です。祭壇は,大概,前方中心か,場合によっては中央にあります。ここは私たちも体験している感謝の祭儀といわれるミサが執り行われるカトリックの中心的な場所です。祭壇近くには,司祭の席,朗読台があります。
叙階の秘跡を受けた奉仕者である,司教,司祭は,頭であるキリストと一体になって奉仕者として働かれる場です。
祭壇の広報,あるいはお側近くには,イエス・キリストの御体のついた十字架が高くあり,その真下,あるいはお側近くには,御聖櫃が置かれています。イエス・キリストは十字架につく前にご自分の体をパンとぶどう酒の形として,御聖体を制定されました。私たちを養ってくださる御聖体の秘蹟です。
今,目の前にある御聖櫃の中には,パンの形になって真に現存されるキリストがおられ,私たちがキリストご自身を礼拝する場なのです。
御聖櫃の間近には炭火の色に似た赤いランプが常に灯されています。この強すぎもせず明るすぎもしないランプが見る人の心をほっとさせます。
それでは,扉を閉めて一歩中に入りましょう。聖堂は神の家,教会の象徴,天上の神の住まいの象徴,聖堂は祈りの場所といわれる特別な場です。静かに入りましょう。その場所でしばしたたずみ,左右後方,あるいは,聖堂脇を眺めてください。告解室があります。場所はその聖堂によって違いがあります。ここは罪の許しの秘蹟をいただく場所です。
もう一つ,大概入り口近くにさほど遠くないところに洗礼盤が置かれています。ここは洗礼の秘蹟をいただくための聖水が入っています。金属製,木製,大理石等々材質もデザインも種々です。洗礼と並ぶ堅信の秘蹟は,司教による聖香油の塗油によって授かります。聖霊の特別な注ぎが行われることで,洗礼の恵みを増大させます。この聖香油も保管場所があります。
ここでちょっと私事になりますが,時々神様とだけ話したいと思うことがあったときには,ふらっと教会の聖堂に入って静かに過ごすことがあります。入り口の扉を押し開けた瞬間,祭壇の前に白いドレスの裾を長く引いている姿が目につき,真に結婚式の最中という場面に出くわしたり,またあるときは,目を閉じて静まりかえった中に,にわかにざわめきが立ち,はっと目を開けると,いつの間にか祭壇には見ず知らずの方の遺影が飾られていて,やがて棺が運ばれ,本当にあっという間に祭壇はいっぱいの花で埋め尽くされ,そしてやがてそう気味さが厳かに執り行われていくという場面等も体験することもあります。
教会では,見ず知らぬ方々の式でもおじゃましなければ聖堂で祈っていることができます。
以上の場面から,結婚も秘蹟であり,また死と繋がりのありますところの病人への塗油の秘蹟と言われるものです。
今までベンチに座ることはできませんでしたが,少しの間,聖堂の中を見回しながら秘蹟との関連を話して参りました。それではここでまとめてみましょう。
1.すべての秘蹟の恵みをうける中心ともいえるキリスト教入信の秘蹟は,
洗礼,堅信,聖体
2.いやしの秘蹟には,
罪の告白により与えられるゆるし,
病者の塗油
3.交わりと使命を育てる秘蹟は
叙階
結婚 です。
この7つの秘蹟は,キリスト者の生涯の重要なときとかかわりがあります。
秘蹟を聖堂の場所と関連づけてご紹介してみましたが,少しは身近に感じることができましたでしょうか。
これで宗教朝礼を終わります。
S.K.(寄宿舎)