シスター・先生から(宗教朝礼)

2014.09.17

2014年9月17日放送の宗教朝礼より

 

皆さんは、プロテニスプレーヤーの錦織圭選手を知っていますか。それでは、国枝慎吾選手は知っているでしょうか?上地由衣選手はどうでしょうか?
錦織選手は、先週全米オープンテニス大会で、見事日本人初の決勝進出を果たしました。残念ながら決勝では敗れてしまいましたが、準優勝に輝き大変話題になった選手です。
国枝慎吾選手というのは、錦織選手の出場した全米オープンの車いすテニス大会において、シングルスとダブルスで優勝した男子の選手です。上地由衣選手も同じ車いすテニス大会において、シングルスとダブルスで優勝を果たした女子の選手です。2人はそれぞれ2冠を達成し、日本人が全種目を制覇するという快挙を成し遂げたのです。
その上、国枝選手はテニス4大大会タイトルを制覇という、今季のグランドスラム達成という偉業もやってのけたのです。
ハンディキャップをものともせず、テニスに打ち込んでいる2人は立派です。でも、メディアは2人の活躍をあまり報じていないのが現状で本当に残念です。皆さんは2人のことも覚えておいてください。

とは言うものの、今日は錦織選手のことについてお話したいと思います。
錦織選手の強さの秘訣は何だと思いますか。
それは、粘り強さと強い精神力だと言われています。
コーチのマイケル・チャンコーチが彼の良さを引き出した。常に錦織選手に君はトップレベルだ。最高の選手だと言い続けてきたと言われています。そして、君だったらできると‥
それに見事に答えてきたのが、錦織選手です。

テニスの試合は4時間を越すゲームがあります。暑い炎天下、ラリーが続き、決まらず、相手にブレークされ、心が折れそうになることがあると思います。そんな時にも集中力を切らさず、粘り強く立ち向かっていかなくてはならないのです。
何万という大観衆が見守るテニスコート場で、大声援を受け、一挙手一投足にどよめきが起こるのです。そんな中、試合を続ける精神力は大変だと思います。
試合中、集中してずっとボールを追い続け、それに合わせて走り続けなければなりません。それが、何時間も続く時があるのです。その体力と精神力の強さには頭が下がります。

皆さんの中には、「やればできる」そう思っていてもやらないで終わっている人はいないでしょうか。
明日? 明後日? 来週? まあいつか? そう思っているだけで、実際に行動に移さなければ、何も始まらないのです。
始まらなければ、何も起こりません。結果が出せるはずがありません。

錦織選手は5歳でテニスを始め、13歳からはアメリカに渡りテニス留学をしていました。技術の壁、体格の壁だけでなく、当然言葉の壁にも悩まされました。そしてホームシックにももちろんかかりました。それらを乗り越えて、現在の彼があるのです。

人の何倍も努力してきたのです。
錦織選手の諦めない気持ち、精神的な強さ・忍耐力が光った大会でした。

錦織選手は今大会、4時間を越す試合が2回連続で続きました。接戦になった時、粘り強く、精神力で1セットずつ取り、あきらめずにものにしてきたのです。彼の本物の強さを感じた大会でした。
準々決勝を前に、記者会見で錦織選手は「勝てない相手はいない」と話していました。これから、自分より世界ランキングが上位者とあたるときにです。気持ちの上で負けていなかったことがわかります。
どうしても、自分よりランキングが上位者とあたる時は、「胸を借りるつもり」でとか、「あたって砕けろ」とか、「とにかく精一杯頑張ります」などのように、何か勝てなくて当然、勝てないことが前提で話してしまうことが多々あります。
でも、それでは試合に勝てるはずがないのです。始まる前から気持ちの上で負けているからです。
負けるものか、負けないというように思っていなくては、相手に圧倒されて押しつぶされてしまいます。
どんなに強い相手でも、絶対負けない、そういう強い気持ちで臨むことが大切なのです。
しかし逆に、勝って当然、勝てる相手と周りに言われてしまうと、プレッシャーを感じて、緊張して固くなり平常心が保てなくなり実力を出せなくなるときがあります。
決勝の錦織選手がそうだったようです。彼は前日の夜は眠れず、「試合に入り込めなかった」と記者会見で話していました。錦織選手でも、決勝は別だったことがわかります。

試合に良いイメージを持ち、平常心で臨める精神的な強さ、それでいておごらない気持ちと謙虚さ、集中力を途切れさせない忍耐強さも必要とされるのです。
いつでも挑戦者であり続けることも必要なのです。勝てると思うと、欲が出て、自分自身に対するおごり、あせりが出てしまう。そのことも忘れてはいけないのです。これは何にでも言えることです。

どんなに大変なことでも、始めの1歩があります。
フルマラソンの42.195kmも、考えれば1歩ずつの積み重ねなのです。
それを考えたら、自分の始めの1歩をどこで踏み出すかです。
自分に甘えがあるから、また失敗を恐れてなかなか踏み出せない1歩。
でも、やらないで後悔するより、やって失敗する方が自分の大いなる成長につながります。

皆さんも、思い切って、本当の1歩を踏み出して、自分の可能性をためしてみませんか。
若さを価値あるものとするため、「フロンティアスピリット」を期待しています。