シスター・先生から(宗教朝礼)
2014.06.25
2014年6月25日放送の宗教朝礼より
おはようございます。宗教朝礼をはじめます。先日の学校説明会では、高校3年生が学校へのお客様をご案内してくださいました。温かい笑顔、配慮、立居ふるまいから気品がにじみ出ていたように感じます。素敵な女性として成長されたことを嬉しく、頼もしく、そして誇らしく思いました。「不二聖心の生徒になっていく」という表現がありますが、不二での日々の生活、活動などを通じて身についていくものの一つが、聖心のホスピタリティの伝統があげられると思います。
ホスピタリティという言葉は、ラテン語のhospes(客人の保護者)を語源としています。昔、旅に出かけるのは、だいたい巡礼の旅でしたが、疲れた旅人に対して、無償で飲食のもてなしをしたり、看護を施したり、宿泊施設の提供をしたり、と現地の人たちが旅人に愛の手を差し伸べたことに由来しています。現在では、ホスピタリティはおもてなしとも訳されます。
目の前の人に対して、相手の立場にたって、自分にできるすべてを惜しまずに差し上げる、特に相手を尊重する気持ち、大切に思う気持ち、安心感を与えるのがホスピタリティだと思います。
約10年前、ニューヨークを親友と旅行した時のこと、早朝にセントラルパークの近くを散歩しているときに、偶然、聖心の学校を見つけました。夏休みで学校は締まっており、校舎は工事中でしたが、守衛さんに、日本の聖心の卒業生だと話をすると、朝早い時間、しかも工事中にもかかわらず笑顔で校内に入れてくださり、感ずべき御母の絵などを案内してくださいました。
不二聖心に教員として戻ってきた年、創立者の生家や、ローマにある聖心の本部を訪れました。生家のあるジョアニーのシスター方も、本部にいらっしゃる世界各国から集まっているシスター方も、私たちを本当の家族のように、温かく迎えてくださりました。多くの言葉を交わさなくても、私たちの訪問を心待ちにしてくださっていたのだと感じ、聖心はファミリーなのだと実感しました。
思い返せば、私が高校1年生のとき、韓国体験学習が始まった時のこと、当時は、歴史の爪痕も残り、反日感情が今とはくらべものにならないほど根深かった時代でした。でも世論とは別の次元で、ソウル聖心のシスター方、先生方は不二の生徒・教員を歓迎してくださいました。聖心の絆は、国民的感情を超えたものであると、高校生の時に体験しました。
一昨年前、家族の仕事の都合で、台湾の聖心を訪問しました。その時にお会したシスター、先生たちは、台湾で何か困ったらすぐに連絡して、と携帯電話の番号を教えてくださり、親身になってくださいました。
世界各地で出会う聖心のシスター、先生、ときに守衛さんとのかかわりと通して、神様のもとに、創立者のもとにつながっている絆、もてなし、という言葉だけでは表現できない、もっと温かい何かを感じてきました。
それは、先日の高校3年生の姿から、不二聖心にいらしてくださった小学生や保護者の方にも感じていただけたものだと思います。不二聖心の生徒になりたいと思ったきっかけは、説明会で出会った上級生の姿だったということがよく聞かれます。みなさんの中にそう言う方もいらっしゃることでしょうし、将来の入学してくる小学生もきっとそう言ってくださることと思います。
心からおもてなしをできる人は、惜しまず与えることを知っている人ではないかと思います。
明後日はみこころの祝日です。すべてをあますことなく人のためにささげられたイエスのみこころにならう日です。中学1年生ははじめてのみこころの祝日であり、高校3年生にとっては最後のみこころの祝日ですね。「大変だな、面倒だな。」という気持ちを越えて、「誰かが見ているから」という認められることを求めるのではなく、心と体を尽くして、お掃除や交流をしましょう。
そして土曜日は聖心女子大学では、東日本大震災の復興チャリティーディが行われます。不二聖心でもワンテーブルショップの準備や、被災地でのボランティアの記録をまとめて展示する準備が進んでいます。先日ニュースで大熊町で行方不明の最後の一人となった少女のお父さんが、放射能防護服をきて、腰まで川につかりながら娘を探し続けている様子を見ました。東北全体を見ると復興が進み、行方不明の方の人数が減っていく中でも、娘を探し続ける父親の姿に心が痛みます。今なお、不便な生活を送り、家族・大切な人を失った悲しみを抱えた人に思いを寄せ、私たちにできることを心をこめてする努力をしていきましょう。
最後に私の好きな言葉を紹介します。シスター渡辺和子の著書にもあり、ご存じの方も多いかもしれません。
Where God has planted you, you must bloom.
直訳すると、神様がお植えあなたをお植えになった場所で、あなたはあなたの花を咲かせなさい、となります。
自分の今いる環境は変えられなくても、今自分がどのように人と関わり生きていくかは変えられます。家族を大切にし、周囲のお友達、上級生・下級生を大切にしましょう。そして、明後日、自分の心と体を使って、骨惜しみせず奉仕活動に取り組みましょう。そして真の意味でのホスピタリティの精神を持つ素敵な女性として成長してきましょう。
T.H.(英語科 )