シスター・先生から(宗教朝礼)
2014.05.07
2014年5月7日放送の宗教朝礼より
おはようございます。宗教朝礼を始めます。
ペットブームといわれる昨今ですが、皆さんの家でも犬・猫をはじめ、いろいろなペットを飼っている方もいると思います。ところで、一般的にペットと言われている犬・猫が日本全国でどのくらい飼育されていると、皆さんは思いますか。
平成24年度の全国犬・猫の実態調査によりますと、飼育されている犬・猫の数は、合計で21,282,000頭(内訳は、犬が11,534,000頭、猫が9,748,000頭)とのことです。平成24年3月末時点の日本全体の世帯数(53,783,000世帯)を飼育されている犬・猫の数で割ってみますと、2.5世帯に1匹の割合で、ペットを飼っていることになります。中には、1世帯で何匹もペットを飼っている方がいるので、数字のように単純には考えられませんが、延べ数での平均値は2.5世帯に1匹の割合となります。
以前、不用犬(いわゆる飼えなくなった犬)のことが報道されたことがあります。その数字を聴いて、大変ショックを覚えたことがあります。改めて、調べてみましたところ、環境省の2008年度の資料によりますと、愛護センターや動物指導センターなどに収容された犬は、年間90,810頭で、飼い主に戻った犬や里親に出された犬を除くと、82,000頭余りの犬が殺処分されているとのことでした。なかでも、飼い主からの処分依頼も多いとのことにはびっくりしました。処分の理由は、「泣き声がうるさい」「引越するので飼えなくなった」「病気になったから・・・。」などが主な理由のようですが、自治体としても法律上から引き取らざるを得ないとのことでした。しかし、収容され処分を待つペットの気持ちを思うと、きっと悲痛の叫びで、「誰か助けて」と言っていると思います。折角、生を受けて誕生しても、こんな結果では、ペットにとっても実に残念な一生だと思います。
これも最近の新聞で見たのですが、ドイツでは、飼えなくなった犬や猫・野良犬などは、殺したりせずに、飼い主がいない犬や猫の世話をする団体がたくさんあるので、そういう団体の施設に入れるそうです。ベルリンの郊外には、サッカー場が22個も入る広さの「動物の家」という保護施設があり、運営は、すべて寄付金でまかなわれているとのことでした。身寄りのない犬や猫にとっては別天地ですね。その代わり、ドイツで犬を飼う場合は、「犬税という税金を払わなければならないとのことです。ちなみに税金は、日本円で一匹、年間17,000円、2匹目からは25,500円とのことで、犬を飼う前に税金を払ってまで、本当に犬を飼いたいのかどうかを考えるきっかけになるとのことでした。
ところで、犬にもたくさんの種類がありますが、犬種によって役割というか、役目があります。例えば、介助犬や狩猟犬、警察犬などの目的で使われる犬もいますが・・・、ただ一般的にはペットというと、可愛いということで愛玩的に飼われているものが多いと思います。
皆さんは、盲導犬に出会ったことがありますか。目の不自由な方に寄り添って活動する犬です。この犬は、生を受けてからわずかな期間を除き、一生涯、障害をもつ人のために活動するわけですが、そのためには、実に大変な訓練を受けているとのことでした。
もちろん、性格的にも従順な犬が選ばれるそうですが、それにしても、自分が食べたいときや寝たいときでも我慢をし、ひたすら、主人のために言いつけを守り、先導し、寄り添い、役目をまっとうしているわけで、本当にいじらしく感動します。
しかし、このように選ばれた犬は、一生、自分の自由がないのかと言うとそうではなく、盲導犬として訓練を受ける1年間だけは、愛情いっぱいに育てられて、人間を深く信頼する犬に成長していくそうです。そして、1年間が終わると、次には、厳しい訓練を受けて、晴れて盲導犬としてデビューするとのことでした。
私も犬を飼っていますが、飼うきっかけとなったのが、私の実家で飼っているヨークシャテリアに影響を受けたからです。私の両親は、7年前、ペットショップでこの犬と出会い、母は、ちょっと触っただけで相性が合い、可愛いくなって手放せなくなったということで、生後45日で400グラムの犬を購入しました。今年7歳になるこの犬は、体重2.7kgになる男の子です。まず、名前をつけるときから、可愛がり方も大変です。私には弟がいるのですが、その弟の名前をつける時に挙がっていた、2つ候補のうち弟につけた名前ではない、残った方の名前をつけました。毎日の様子や食事の時間などをメモしていて、もう7冊目になります。また、犬のおもちゃはもちろんですが、人間の赤ちゃん用のおもちゃをいくつか与え、シャンプーも毎日の日課です。犬も飼い主のしつけに応え、いろいろな芸というか仕草をします。父などは、言葉を理解していると思われる単語と仕草を書いたものを作ったりしています。既に30語以上を収録してあります。この犬が、芸をする時などは一生懸命でとてもかわいいですよ。「お手」「お座り」「伏せ」「待て」「ゴロン」「タッチ」「ジャンプ」「よしこい」などは一般的ですが、変わったところでは、「あんよ」というと後ろ足でお手をします。また、「ハウス」というとゲージのドアを自分の前足で開け、中に入ってお座りをして、次の指示を待ちます。
その他、人間の話がわかるかどうかわからないのですが、(両親はわかると言っていますが)話をよく聞いていて、自分はどうなるのか、一緒に連れていってもらえるのか、留守番かなど、両親の服装を上から下まで見て、ソワソワしたりするそうです。
そんなこんなの影響を受けて、私も4年前、同じ種類で顔も似ている犬を探し求め、お隣の県まで行って購入してしまいました。今4歳になるヨークシャテリアで、体重は1.7㎏の男の子です。少しでも、実家の犬に負けないようにと日々訓練をするのですが、芸などはなかなか追いつけません。でも、可愛さでは負けていません。私が夜帰宅すると、真っ先に部屋から飛び出してきて、尻尾をフリフリ、クルクルクルと何回転もして出迎えてくれます。目が回わらないかと思うほどですが、疲れて帰っても、その仕草に癒されます。
こんな可愛い仕草で人を癒し、役立つ生きものが、人間の好き勝手で、不用犬として物のように処分されるのは本当に悲しいことです。可愛いからといって購入し、自分が不用になったらポイッと捨てるのでは可愛そうです。ペットを飼うなら、飼う前に自分で責任をもって飼えるかどうかをよく考え、行動して欲しいと思います。ドイツのように、ペットとして飼うなら、はじめから税金をとるのも一つの方法ですが、弱いペットを不用犬として処分する飼い主は、人間で言う「育児放棄」と同じです。こんな飼い主には、ペットたちのためにも、何かペナルティを科したい気持ちです。ペットに罪はありません。小さな生きものも人間も、同じ生きものです。生きものを飼うなら愛情と最後まで責任をもつという強い意志のもとで飼うべきだとは思いませんか。
これで宗教朝礼を終わります。
A.S.(数学科)