シスター・先生から(宗教朝礼)

2013.11.02

2013年10月30日放送の宗教朝礼より

 これから宗教朝礼を始めます。

 私たちはときどき,「なぞかけ」をして遊ぶことがあります。あまりにも単純で「これ,なぞなぞ?」と思うものから,考え込んでしまいものまで種々です。
例1つ目 
「なぞなぞ」
「パンはパンでも 食べられないパンは何?」
答え「フライパン」
例2つ目
「なぞなぞ」
「初め4本。次に2本。最後は3本で歩く動物は何?」
答え「人間」

 こういった具合です。
私も時折「なぞかけ」をすることがあります。今までで一番印象に残っているものは祖母とやりとりをしたものです。祖母は明治生まれでした。他界してからずいぶん時が経ちましたが,一緒になぞなぞ遊びをした頃を懐かしみながら,問題を紹介してみたいと思います。

 方言で話しますので,さっぱり理解できないこともあると思いますが,解説を付け加えますのでお聴きください。
はじめに決まり事がありまして,まず問題を出す人が相手に対して挑戦する意志があるか否かを問います。それが「なんじょ?」という呼びかけの言葉です。これに対して,答える側の人は「受けて立ちます」という意思表示をするための返す言葉が「立でろ」です。 「なんじょ?」「立でろ」これで遊びが成立です。
では始めましょう。
<問題1>
  「なんじょ?」「立でろ」
「なぁ あっちゃ えぐ。 わぁ こっちゃ くる。な~んだ。」
(解説)
「あなたはあちらの方へ行きます。私はこちらの方へ行きます。何でしょう。」
(答)
「前掛けのひも」

<問題2>
  「なんじょ?」「立でろ」
「真っ赤だ,じょじょ つかむもの。な~んだ。」
(解説)
「"じょじょ"とは魚のことを意味します。ここでは真っ赤に焼けた炭をさします。」
(答)
「火箸」

<問題3>
  「なんじょ?」「立でろ」
「にらの隅っこのふげ親父。な~んだ。」
(解説)
「納屋の隅の方にもじゃもじゃの髭を生やした親父のようにどっしり構えているもの」
(答)
「俵」

<問題4>
  「なんじょ?」「立でろ」
「にらの隅っこの爪じゃしこ。な~んだ。」
(解説)
「納屋の隅の方に爪先をたてておかれているもの。」
(答)
「箕」
・箕とは農具の一種で大きなちりとりのような形をしています。あおってその中の殻やゴミ等をふるい分けます。
・不二聖心アーカイブコーナーのお茶工場に関係した展示物の中に現物があると思います。

<問題5>  
  「なんじょ?」「立でろ」
「木だぉん,竹だぉん,絡繰りだぉん。中はくぐりやのおんどり子。な~んだ。」
(解説)「木や竹で作られた絡繰り物で,中に入れられた物はグルグル回されてくぐり合ったりおどったりしているようにふるい分けられる様子。
(答)「と箕」
・これも農機具の一つで箕よりずっと機械的でいわゆる絡繰風です。今はほとんど見られません。

以上,この辺で出題は終了します。問題の語り具合を聞いて,何か気づいた人が居るかもしれませんが,何となくリズム的な話しかけをしているという雰囲気があることです。祖母はリズムカルに流ちょうに問題を出してきました。その音楽性がより深く記憶に刻まれるきっかけにもなっていたようです。
「なぞなぞ」は日常生活に密着した物をおもしろおかしく問題にし,興味を持たせ,知らず知らずのうちに生活の中のものを覚えていくように,うまい具合に仕組まれた,真に一石二鳥の知恵が隠された昔からの遊びだと感じ入っています。時には頭の体操のつもりで,音楽的な心地よい語り口で,なぞなぞ遊びをしてみるのもよいのではないでしょうか。
これで宗教朝礼を終わります。
                                                                 

S.K.(寄宿舎)