シスター・先生から(宗教朝礼)

2013.07.03

2013年7月3日放送の宗教朝礼より

 これから宗教朝礼を始めます。

 皆さんは、冒険家三浦雄一郎さんを知っていますか。

彼は今年の5月23日、なんと80歳という世界最高齢で、エベレスト登頂に成功したのです。彼にとってエベレストは3度目の登頂となります。

 70歳で初登頂に成功し、その5年後の75歳で2度目の登頂を果たしました。そして今回80歳での3度目の登頂成功となりました。

いつも、夢を追い続け自らを奮い立たせ追い込みながら、登頂成功を果たしたのです。

特に今回の登頂は過酷な試練を乗り越えて成功しました。

 彼は今までスキーの滑降で、いろいろな冒険をしてきました。54歳の時、南アメリカの最高峰アコンカグアからスキーの滑降を成功させて、ついに世界7大陸最高峰の全峰からスキーの滑降を成功させる偉業を成し遂げたのです。彼にとっての大きな目標が達成された瞬間でした。しかし、その 結果、逆に目標を見失ってしまうことになりました。目標を見失った彼は不摂生な生活を送り、血圧は200近くまで上がり、不整脈まで出る不健康な状態と なってしまいました。その後65歳の時、5年後の70歳でエベレスト登頂を果たす目標を立てて、体力を回復させ登頂成功に至ります。5年がかりで体調を整える準備をしたのです。5年です。これはそれだけですごいことだと思います。

彼でさえ、目標を見失うと不健康な状態になってしまうのです。つねに目標を見失わず、挑戦し続ける大切さを彼は教えてくれたのです。

エベレスト挑戦3回目となる今回は、骨盤骨折や4度の心臓手術、そして持病の不整脈を抱えながらの挑戦でした。

彼は言います、「人生、人は夢を見て、そうしてそれをあきらめなけれ ば、夢が実現する。エベレストの頂上というのは、夢を見てあきらめず実行すれば、夢が叶うという(ことを教えてくれた)、僕の宝物です。(それが)僕の心 の中にプレゼントされました。」「自分の家の階段を上がるのさえ大変だった。しかし、それでも、あきらめずに登ってきた。」「これで3度目の登頂ですが、 これほど疲れて、これほど面倒をかけて、命がけで帰ってきたことはなかった。しばらくは、のんびりしたいというのが本音です。」と語っています。

自分の家の階段を上がるのさえ大変だった彼がエベレスト登頂、なんと無謀な挑戦と言っても良い状態でした。だからこそ、挑戦したのかも しれません。冒険家は無謀と言われてもあきらめません。「逆によし」と言う気になるのだと思います。だからこそ冒険といわれるのだと思います。

私たちも「冒険」とまでいかなくても、少し無理かなと思うぐらいの夢に向かい挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。

困難を乗り越えてこそ、夢が叶った時の喜びは大きいものです。どんなことも、こつこつ積み重ねれば、夢は叶うはずです。努力はうそをつかないといいます。そしてあきらめたらそこで終わりです。

あきらめるということは自分で可能性の芽を摘むことになります。苦しいことから逃げることになります。苦しい時こそ、叶った時の喜びを思い描きながら、自分を奮い立たせてほしいと思います。

もうだめとよく人は言います。本当にそうなのでしょうか?

人の気持ちの中にはダメと言いつつ、やらなければという気持ちが心の中に実はあることが多いものです。甘えの中にある本音の部分でしょう。誰かに後押しをして欲しいと思っているのかもしれません。

自分の気持ちに向き合い、自分の弱さと甘え、強い自分と弱い自分、楽をしたい自分と成し遂げたい自分の気持ちと闘ってほしいと思います。

今しなければならいことを辛くてもできる意志をもってほしいと思います。

自分一人でつらいなと思うことがあるかもしれません。でも、人は一人ではありません。一人ではないことに気付いた時、安心感が生まれ、あきらめない気持ちが生まれるのです。そして、がんばろうとする気持ちがまた得られるのです。

あなたのことを理解し、あなたを見守ってくれている人がいます。あなたのことを心配して気にかけてくれている人がいます。

あなたは一人ではありません。誰かが支えてくれています。そのことに気付くことができる人になってください。そして、あなた自身も誰かを支える人になってください。それができて始めて人は愛されている自分に気づくのです。

人にやさしくなれるのです。

三浦雄一郎さんも、実は多くの人に支えられこの偉業を成し遂げたのです。サポート隊の多くの陰の力があったから成し遂げられたのです。 今回は実は脱水症状で、ふらふらになりあきらめかけたと言います。それでも、周りに支えられ、また家族に見守られ、ゆっくり焦らずに登り続け成し遂げたの です。

相手を大切に思う気持ちは、自分を支える気持ちにつながります。誰かがするのではなく、最後は自分を奮い立たせ成し遂げるのです。

皆さんも三浦雄一郎さんのように数年後の自分を思い目標を定め、強い意志力で努力をひたすら続けてください。

弱い自分と決別し、自分の夢の自己実現に向かって。可能性を信じて自分を乗り越えていってください。

 

 これで、宗教朝礼を終わりにします。

Y.H.(保健体育科)