シスター・先生から(宗教朝礼)

2013.04.24

2013年4月24日放送の宗教朝礼より

 おはようございます。これから宗教朝礼をはじめます。

今日は植物の話を したいと思います。私が,植物に興味をもつようになったのは大学生になってからでした。卒業研究で植物を調べることになり,山へ行っては植物を採集し,標 本にして名前を調べるということをしていました。知らない植物の名前を調べたり,季節ごとに変化する植物を観察したりするのは楽しいですし,いまでも,山 に入り,植物を観察しています。しかし,最近は,さらに,少し違った面の楽しみ方を覚えてきました。不二聖心にきてから,オリエンテーリングの準備など で,田中先生と一緒に山へ入らせていただくことがあります。そのとき,田中先生が,道のわきに生えている草をポキリとおり,これは食べられるんだと教えて くれました。その植物はよく生えている雑草ですし,名前もしっていましたが,食べられるということは知りませんでした。実際に,皮をむいて食べてみると, 酸っぱいような味で,おいしいと言えばおいしいような味でした。しかも,太さや伸び具合によって味が違うようでした。それからも,例えばワラビの取り方 や,タラの芽の取り方など,山菜の取り方を学びました。ワラビやタラの芽はみなさんも聞いたことのある名前だと思います。私も名前は知っていましたし,食 べられるということも知っていました。スーパーにも栽培品のタラの芽が売っています。

しかし,実際に, 山でワラビやタラの芽をとったことがあるかというと,ありませんでした。ふと考えてみると,自分で山菜をとって食べた記憶はほとんどありませんでした。小 学生くらいのときにヨモギをつんだことがあるかないかくらいだと思います。実際,ワラビにしても,ただ適当にとればいいのではなく,コツがあって,手を滑 らせて,ポキっと折れるところでとると,おいしいところで,折り取れるようです。口頭で説明するのは難しいですが,やってみると確かにそういうところが あって,茎の固くなった部分をとらずに済みます。ちなみに,今茎と言いましたが,ワラビで地上に見えている茎と葉のように見える部分は一枚の葉で,本当の 茎は地下に伸びていて,それぞれのワラビと繋がっているそうです。茎が全部土の中にあって,葉だけを地上に出しているわけですから,不思議です。しかし, そういうわけで,ワラビを摘んでも,それは一枚の葉をとっただけで,植物体が枯れてしまうわけではありません。それどころか,葉を摘まれたことを感じたワ ラビは負けじと,さらに,葉を地上へ伸ばしてくるそうです。

 タラの芽はどうでしょうか。タラの芽の取り方も学びました。先端の芽をポキリと摘めばよいのです。しかし,注意しなくてはな らないのは,一度芽を摘んだあとに出てくる二番芽を,とってはいけないということです。二番芽までとってしまうと,木が枯れてしまうのです。タラの芽はま さに,タラノキの芽ですから,頂端分裂組織ごと取ってしまうことになります。一度でしたら,すぐわきにある休眠芽が伸びだしてくるようですが,とても体力 を使うようで,2つ3つととられると,もう枯れてしまうのです。しかし,これも,知識として知っている だけではなく,実際に経験しないと分からないのかもしれません。自分が一番芽をとった木なら,次に出てくるのが二番芽だと分かりますが,山を歩いていて, たまたま見つけたタラの芽が,一番芽なのか二番芽なのか判断できないこともあるでしょう。実際に,山を歩いていると,ちょうど手の届くくらいの高さで枯れ ているタラノキをよく見ます。タラの芽は山菜として有名で,見分けやすいのでとる人が多いということもあるかもしれません。

 さて,このように新しい自然との親しみ方を覚えて,私は非常にうれしく思っているわけで,ぜひ皆さんも,と言いたいところで すが,身のまわりの植物には有毒なものがたくさんあります。食べられる野草とそっくりで,毒があるものもあります。むやみに野草を口に入れてはいけませ ん。十分な知識を持った大人の方と一緒に楽しみましょう。

これで宗教朝礼を終わります。

M.H.(理科)