シスター・先生から(宗教朝礼)
2012.09.26
2012年9月26日放送の宗教朝礼より
野外活動が大好きな私は、夏になると決まって八ヶ岳の大自然の中に身を置き森林浴や、渓流釣りをしたり、時には野山を走ったり、仲間と食事を楽しみながら何日か山の中に入り過ごすことが多く、今年の夏は更に、新たな試みとしてツリーハウスに挑戦しました。
長野県 大町市の、「千年の森自然学校」という、プログラムに参加することができました。そのプログラムの企画者、朝重孝治(ともしげ、たかはる)さんが作られたツリーハウスを紹介していただきました。私は、そこで衝撃的な感動を受けました。
太い一本のカラマツの高さ5メートル程のところに、大人7~8人が宿泊できる場所があ り、部屋の中を自由に移動しても安定しておりきわめて安全なものでありました。 また、ツリーハウスから眺める周囲の景色は、今までとは全く違った自然の 風景であり、しかも、風に吹かれるたびに微妙に揺れ、それは心地よく、疲れきった体を深い眠りに誘う癒しでもありました。
幼いころ、近所の友達と山に入り秘密基地を作り、朝から晩まで夢中になって遊んだ記憶がよみがえりました。このプログラムは今後、不二聖心の自然のなかに組み入れ実施しても、楽しい企画になるだろうと 想像してみました。
不二聖心の自然は言うまでもなく素晴らしい環境を、私たちに提供してくれています。
四月の始め、御殿場のNPO法人「土に還る木・森づくりの会」の関田さんが、この学校の自然は素晴らしいですね、凄い大きなダムを持っていると同じですね、と一言おっしゃったことが忘れられません。
川が流れていないのに、 何故ダムなのか。関田さんいわく、大きな、ヒノキや杉の木は木の内部に1トンくらいの水分を貯えているそうです。また、中学校校舎、中庭にある大きな欅 (けやき)の木になると、おおよそ3トンくらいの水分を中に貯えているそうです。これだけ広大な敷地の中に数え切れない程の木があり、水分を抱えているわ けだから確かに水の貯蔵庫であるということも、なる程と納得できる話です。
今年から始まった『共生の森作り』の一環として、高1の環境学習の中で夏休み前に森の健康診断が行われました。これは、森林の中の環境を、よりよい環境に整えてやるために、密集している木を間伐するための調査が行われたのです。
夏休み明けに、いよいよその木を切り倒す作業が、愛知県の「矢作川水系森林ボランティア 協議会」の方々のご指導の元で、各グループが2本ずつ実質30本ほどの杉の木を切り倒しました。高さ15メートルほどで、太さは直径25センチ以上も有 り、かなり太い木を、ノコギリとロープを巧みに使い切り倒しました。倒した瞬間あちらこちらで歓声が沸きあがり達成感を味わっていました。
切り株の年輪を数えてその木の樹齢を知るわけですが、今回の樹齢は47年~50年という結果でした。何十年もかかり、ここまで成長した木ではあるが、残念なことにその役割が終わりました。その結果、周囲に残された木々には、十分な栄養が行き届き成長するのです。
健康な森林とは、ただ樹木が多ければいいというのではないようですね。
更に、間伐材が野外用テーブルや、ペレットとしてエネルギーに生まれ変わり、ツリーハウスの材料として活用されれば、間伐材の再生として命を引き継ぐことになり、まさに、森には持続可能な社会を創り出していく力があるということになります。
今回この行事に参加し て下さった株式会社「はごろも」の本田さんは次のようにおっしゃっていました。「この生徒たちは、この経験が人生を引っ張るでしょう」本田さんも学生の頃 生物部に所属し、この時に出会った生物が忘れられずに、数十年たった今になっても仲間と毎年一緒にどこかに出かけ、生物との出会いを求めて、楽しい一日を 過ごしているそうです。
「人は最終的には自然を意識してその中で生きていくのです」と語っておられました。
私はつい最近、身近な所で、思わぬ自然に出会えました。息子に誘われ丹沢の奥地に行きま した。そこは秘境とも思える場所だったのです。こんな近くにこのような自然がまだ残っているのかと夢のようでもありました。川沿いを縫うように林道が走 り、両側の山は断崖絶壁であるが道沿いに流れる川の水はどこまでも透明でキラキラと輝き、エメラルドグリーンの色彩はどことなく神秘的で、静けさを保ち人 の心を魅了する綺麗な渓流でした。もちろん、そこに棲んでいる魚は川魚の王様イワナです。
この秘境に、4週連続足を運びました、その魅力は、なんと言っても幾重にも重なるように山々が続き、その一つひとつの斜面の荒々しさと、その山肌に生育している木々の美しさと清流と静寂です。
言うまでもなく紅葉の季節は素晴らしく、誰もが足を止めてその場に立ち尽くすことを想像しています。
これから、自然を楽しむのに打って付の季節です。是非皆さんも自然と親しんでみて下さ い。 私は、この幾つかの自然に触れ一番大切なことは、人間と自然との共生、つまり、それは老若男女、万人が望むところで。遠くの自然も身近な自然も、美 しい自然も雑然とした自然も私達の生活と切り離すことは出来ません。
自然が私達にもたらしてくれるものは、決して最新の科学の力を持ってしても敵わないと確信しています。 折りに触れこの「自然」を意識してもっともっと関わってみてはどうでしょうか。
これで宗教朝礼は終わります。
M.T.(保健体育科)