シスター・先生から(宗教朝礼)

2012.09.18

2012年9月18日放送の宗教朝礼より

 先週は祈りの会がありました。日々の忙しさから離れてゆっくりと時間を 過ごす中で、今まであまり交流のなかった友人と仲良くなったり、自分自身の生き方について改めて深く問い直したりと、心の栄養を色々と得ることができたの ではないかと思います。中でも、神父様やシスター方のお話は、皆さんに新たな気づきや人生について考えるヒントを与えて下さったのではないでしょうか。

 私も中学3年生の祈りの会に参加させていただき、神父様のお話を伺う中で、多くのハッとさせられるお言葉に出会いました。例えば、「祈りの会とは、感謝しながら豊かに生きる、喜びの中に生きるためのものである」、「心も身 体も、痛みを感じるということは生きていることの証である」、「私たちは自分の力だけでは花を咲かすことはできない。人から愛を与えられ、自分も人に愛を 与えることによって花が開く」、「皆でこの人、あの人の花を咲かせよう。お互いを生かし合う関係を築こう」など、挙げ始めたらきりがないほど、「人は、私 は、どう生きるべきか」という常に頭から離れることのない問いへの素晴らしいヒントを色々と与えていただきました。

祈りの会で与えていただいた人生のヒントは、山に降った雨が時間をかけて地下を旅し、いつか湧き水となって滲み出てくるように、私たち の中をゆっくり旅してある時ふと再び心に浮かんできたりします。私が不二の高校2年生だったときのことです。当時は高校2年生の祈りの会は長崎ではなく、 広島と津和野で行われていました。津和野では、私たちが英語の教科書として使用しているプログレスをお作りになったフリン神父様にお話をしていただきまし た。ある時、フリン神父様が、「All the sweets are at the bottom of the cup.(一番甘いものはカップの底に沈んでいる。)」 というお話をして下さい ました。この言葉について、神父様は実例を挙げながらわかりやすく説明して下さったのですが、当時の私は「何となくいい響きだな」と思う程度で、この言葉 が何を意味するのかあまり深く理解できていませんでした。それから何十年か経ちますが、折に触れ、この言葉が私たちに教えてくれようとしていることはどう いうことなのか問い続けてきました。そして最近、ようやく「ああ、根気強く何かをすることの大切さと、頑張った後の充足感を教えて下さっているのかな」と 実感を伴って思えるようになってきました。更に生きることを積み重ねる中で、このフリン神父様のお言葉は、また違う意味合いや表情を見せてくれるのではな いかと考えています。

さて、9月に行われる生徒のための祈りの会とは別に、私たち教職員向けの祈りの会が夏休みの終わりに行われ、ここで私たちは神父様のお 話を元に、9月からの学校生活で何を大切にしていくべきか考えます。今年の神父様のお話で、特に心に残ったのは次のようなものでした。少々メモが抜け落ち ているで私なりの解釈が混じっているかもしれませんが、教育の本質というのは答えや解法を教えることではない、「問うべき問いを見つけ、問い続け、その答 えに確信を持つ」、そういう人間を育てることである、というようなお話でした。「問うべき問いを見つけ、問い続け、その答えに確信を持つ。人は誰かから確 信を持った答えを聞くことで、問いに気付く。だから教育に携わる者は、人が問うべき問いを見つけ、問い続けてその答えを見つけられるようにサポートするこ とが一番大切なことなのです」というようなお話でした。思えば、私たちは多くの問いの中で生きています。例えば、「どうしたら大勢の人と仲良く付き合うこ とができるだろうか」「私はどういう人になりたいと思っているのだろうか」「私の人生はこれからどうなるのだろうか。何をすべきなのだろうか」「どうして 勉強しなければいけないのだろうか」「どうしたら文化の異なる他の国の人と楽しく付き合っていけるだろうか」など、挙げだしたらきりがありません。皆さん は、どのような問いを持っているでしょうか。そしてその問いに対し、どのような答えを見出だしつつあるでしょうか。いつかどのようなことを問い続けている か、お互いに話し合ってみたいものです。

その神父様は更に、「徳を積むためには知性を磨く必要がある。人は生きている中で、自分がしていることに意味があるかという問いに直面 することがある。根気強い真理の探求には、好き嫌いや都合に左右されない知性、認めなければいけないことを認める力を身につけることが不可欠である」とい うようなお話もして下さいました。前期を締めくくるテストが近づいてきましたが、「問い」を見つけその答えを見つけるべく努力すると共に、さらなる真理探 究に向けて知性を磨き、学問を通して自己を成長させていくことをお互いに目指せればと願っています。

J.N.(英語科)