シスター・先生から(宗教朝礼)
2012.05.23
2012年5月23日放送の宗教朝礼より
私 は、中学生の時に、聖マグダレナ・ソフィアの『聖心の子供は、一人で天国へ行ってはいけません。』という言葉と出会いました。初めは、この言葉の意味が、 分からなかったのですが、そこに込められた聖マグダレナ・ソフィアの思いを知った時、私は、この言葉が大好きになりました。「神様のいる天国に一人で行く のではなく、みんなをつれていってあげましょう。」と教えてくれる聖マグダレナ・ソフィアが、とても優しい心を持った人だと感じました。大人になった私 は、この言葉には、さらに深い聖マグダレナ・ソフィアからのメッセージが込められているのではないかと考えるようになりました。この聖マグダレナ・ソフィ アの言葉にある「天国へ行くということ」とは、神様から頂いた命を大切にすることとつながっているのではないかと感じています。
今年の4月 の第一週は、イエス様がご復活される聖週間でした。イエス様がご復活なさる復活祭の前日は、徹夜祭と言われています。キリスト教信者である私は、徹夜祭の ミサに参加しました。徹夜祭では、信者一人一人が、火がともされたロウソクを持ち、教会の庭から聖堂の中へと歩きながら入ります。このロウソクの火は、イ エス様の復活である新しい命を表しているそうです。
徹夜祭の 夜、町には風が吹いていて、ロウソクの火をともして歩くには、あまり良い天候状態ではありませんでした。ゆっくりと歩いてはみたものの、私のロウソクに灯 された火は、風に吹かれ、しばらくして、火は消えてしまいました。風が吹いている状態であり、いずれは火が消えてしまうことが分かっていたせいか、私は火 が消えても、がっかりしませんでした。しかし、その時、思いがけないことが起こり、私のロウソクに、小さな火がつきました。隣にいた信者さんが、そっと、 ロウソクの火を私に分けてくださったのです。その信者さんの火も小さく消えそうでした。それまでは、ロウソクに火が消えても仕方がないと思っていたのに、 もう一度自分のロウソクに火がついた時、心が温かくなり、火がついてうれしくなりました。物惜しみせず、自分のロウソクの火を差し出す信者さんの姿から、 自分一人さえよければいいのではなく、人の喜びを大切にする心を教えられました。そして、新しい命の象徴であったロウソクの火が消えてしまったとき、火が 消えたことに残念さを感じなかった自分が、恥ずかしくなりました。どんな時であっても、私達は、神様のもと、このロウソクの火のように、精一杯自分の命 を、輝き続けなければならないことを教えられました。
私 は不二聖心でも一人一人の命が一生懸命輝いていることを教えてもらっています。先週の体育大会でも、そのことを感じました。私は、体育大会が、大好きな行 事であるとともに、実は、私にとって、心が痛くなる行事でもあります。体育大会では、とっても足が速いのに、リレーで転んでしまう人、競技の中で何度カゴ をめがけてボールを入れようとしても、なかなか入らない人、そして、頑張ってきたけど負けてしまって涙を流している人がいました。これらの経験が人を強く してくれることだと分かりつつも、その人の立場になると、その出来事がとても苦しいことだと思います。しかし、それは私の勝手な心の痛みでした。不二聖心 の生徒は、苦しんでいる人を見過ごしません。体育大会では、不二の生徒が、悲しんでいるお友達の心に寄り添って、痛みを分かち合っていました。苦しい出来 事が起きても、自分の損得で感情的になるのではなく、周りの人が幸せになるために自分の力を発揮する力がみなさんにあることを教えられました。
み なさんの中に、自分に自信がない人はいますか。『私なんて、みんなをひっぱるリーダーになれない。』『勉強ができない。』『人に優しくなんてなれない。』 『なんて自分はダメなんだろう。』と思い、自分の命の輝きを実感できない時があるかもしれません。しかし、本当は、誰もが、一生懸命生きていて、自分を輝 かせる力、周りを幸せにできる力を持っているはずです。聖マグダレナ・ソフィアの言葉の『聖心の子供は、天国に一人で行ってはいけません。』という言葉 は、その前提に、『聖心の子供は、その尊い命を輝かせ、天国に行けるのだ。』という聖マグダレナ・ソフィアの強い思いがあったからこその言葉ではないで しょうか。『聖心の子供は天国に必ず行くのですよ。だから、安心して輝きなさい。みんなに、あなたの優しさを伝えてあげなさい。』という限りない愛のメッ セージが込められているのではないかと私は思っています。聖マグダレナ・ソフィアが、あなたには、輝く力、人を幸せにする力が絶対にあると教えてくれてい るはずです。大切な命から生まれるあなたの優しさを、あなたの頑張りを、周りの人に与えていってほしいと思います。
Y.S.(寄宿舎)