シスター・先生から(宗教朝礼)

2012.04.25

2012年4月25日放送の宗教朝礼より

 これから宗教朝礼を始めます。

新学期が始まって約一ヶ月が経ちました。4月は出会いの季節とも言われ、ちょうど1年前、私はこの不二聖心に来て、皆さんと出会いました。中学・高校6年 間を過ごした不二聖心に、再び戻ってこられたことを嬉しく思う反面、たくさんの不安を感じていたことを憶えています。今、皆さんの中にも新しい生活に戸惑 いや不安を感じている人もいるかもしれません。しかし、同時にそれは新たなことへ挑戦するチャンスでもあります。今日は私の学生時代の体験をお話ししたい と思います。

中学生の頃の私は、どちらかというと引っ込み思案な性格で、自分から積極的に何かに取り組むということはあまりなかったように思います。実は、中学1年 生のときに初めて生活向上委員をやらせていただいたのですが、きっかけはクラスの友人から一緒にやろうと声を掛けられ、何となくやってみようかなぁという 気持ちで立候補したというエピソードがあります。このようにのんびりと中学校生活を過ごしてきた私も、高校生になり、もっといろいろなことにチャレンジし てみたいという気持ちが強くなりました。そんなとき、オーストラリアからの留学生のホームステイ先を募集しているというお話を聞きました。「外国人と一緒 に暮らすなんてかっこいい」という少々ミーハーな気持ちもあって、ホストファミリーをすることになりました。それから高校3年 間は、縁あって毎年留学生のホストファミリーをさせていただきました。日本語を学びたい、日本文化を知りたいという目標をもって留学生活を満喫している彼 女たちがとても輝いて見え、いつしか自分も海外に出てたくさんの人と交流したいと思うようになりました。ここで再び私にチャンスが訪れます。高校2年生の後期、担任の先生から「台湾体験学習に参加してみないか」というお話がありました。たった1人で英語圏ではない国に行くということに不安もあって悩みましたが、せっかく機会を与えていただいたのだからチャレンジしてみよう、と参加を決心しました。初めて訪れた台湾で、姉妹校の学生やホストファミリーは本当に親切に接してくださり、2週 間の滞在期間中、台湾人がもつ温かさに何度も感動させられました。しかし、当時は中国語が全く話せなかったため、自分の気持ちを充分に伝えられなかったこ とが心残りでした。そして、もしまた台湾を訪れることがあれば、台湾人と中国語で話したいという思いが強くなりました。大学生になった私は、さっそく中国 語の授業を選択し、検定試験や留学生との交流にも積極的に取り組みました。今思えば、おっとりとした中学生の私からは想像できないほど大きな進歩です。3年 生の夏、私は大学の交換留学生として再び台湾を訪れることになります。真っ先に台湾のホストファミリーに知らせると、「台湾の文化を知るには台湾人と暮ら すのが一番。中国語の上達も早いから」と私のホームステイを快く引き受けてくださいました。しばらく会っていなかったにもかかわらず、以前と同じように私 を迎えてくれたホストファミリーの優しさに触れ、国籍や文化が違っても家族のような絆でつながっていたということに気づかされました。「あなたは私たち家 族の一員。いつでも帰っていらっしゃい」帰国の日、ホストファミリーが涙を流しながら言ってくださった言葉は忘れることができません。ホストファミリーと は、今でも時々手紙やメールのやりとりをすることがあり、つながりを保っています。

これまで私がたくさんの人と出会い、支えられ、こんなにも素晴らしい体験ができたのは、神様のお導きがあったからなのではないでしょうか。チャンスは偶然に訪れるものではなく、挑戦してみなさいという神様からのメッセージなのかもしれません。

最後に、去年寄宿の送別会で高校2年生が読んだお祈りの中にあった「チャンスの女神さま」のお話をしたいと思います。

ど んな人にも一生のうちに大きなチャンスが必ず巡ってくるものです。チャンスの女神さまは前髪が長く、後ろ半分ははげていて髪の毛がないのです。チャンスの 女神さまが現れ、「これはチャンスだ」と思ったら、その前髪をしっかりつかむことです。後からつかもうと思っても、女神さまは逃げ去ってしまい、二度とつ かむことができないのです。

不二聖心で学ぶ皆さんが、神様から与えられたチャンスを生かし、何事にも勇気をもってチャレンジしていく人であってほしいと願っています。

これで宗教朝礼を終わります。

A.T.(寄宿舎)