校長室から
2015.04.08
始業式(2015年4月8日)
聖心女子学院の教育は、カトリックの精神に基づき、「魂を育てる」「知性を磨く」「実行力を養う」の各領域においてバランスよく成長し、「社会に貢献する賢明な女性」として成長していくよう準備します。これら3つの領域が統合されていくためには、生徒・教職員が、各領域を自分自身と関連づけ、具体的に意識して学院生活を送ることが必要です。不二聖心女子学院では、毎年、一つの領域に焦点をあて、3年間の中で教育方針をスパイラルに深めていきます。今年は「魂を育てる」という扉から入る年です。
1) いくつかのことを同時にこなす力
聖心の教育の中では、「複数のことを同時にこなすこと」の大切さが言われます。学院生活においては、学習はもちろんのこと、一人ひとりが全体に対して何らかの役割を担い、行事や委員会、奉仕活動、そして寄宿舎や家庭で担う責任ともバランスをとって過ごしていくことが求められています。実際、皆さんは、必要なことを適切な形で相談しながら、与えられた役割を真摯に果たすよう努めています。どうぞ、その姿勢を大切にしてください。
忙しくても、押しつぶされずに、複数の事をこなしていくには、知性と行動力はもちろんですが、内的な強さが必要です。これは将来、「社会の中で貢献できる女性」となっていくために大切なことです。社会の中では、自分の計画通りに、また願うような順番で物事が起こることはほとんどありません。思いがけない出来事の重なりや、アクシデントの中にあっても、自分に与えられた複数の役割を果たしていく力が求められます。
2)「真に価値あるもの」を理解し、それを望む
しかも、どんなに大変かをアピールしたり、取り乱したり、不機嫌になって物事にあたるのではなく、「エレガントにこなしましょう」と先生方に言われているはずです。水面が揺れても底は揺るがない深い湖のような魂の落ち着き、本当の明るさが必要です。様々なこだわりから抜け出すことが求められます。生き方の方向性とつながっているともいえるでしょう。
聖心の生徒の理想の姿を現す「マーテル・アドミラビリス」(感ずべき御母)の姿、特に聖母の「伏せた眼差し」が意味するものに眼を留めましょう。
マリア様 私たちの目を、見えるものから
あなたの見ておられる見えないものへと導いてください。
目に見えない存在 目に見えない生命 目に見えない行い 目に見えない愛へ
大切でないものにまどわされやすい私たちが、
真に価値あるものを理解し、それを望むことができますように。
(聖心会 第9代総長 マザードレスキューの祈り)
私たちの発する言葉、態度、選び、行いが、「真に価値あるものを理解し、それを望む」心のありように根ざすものでありますように。
3)「いつも神様につながっていなさい」(ヨハネ福音書15章)
「魂を育てる」のシンボルとして、同窓会(ドゥシェーン会)の方々から、一つの御像を贈っていただけることになりました。「創立者聖マグダレナ・ソフィア・バラに、少女が葡萄をお捧げしている」御像です。5月25日の創立者の祝日までには、ソフィア・スクエアに置かれる予定ですので、楽しみにいたしましょう。
この構図は、創立者の祝日に世界中の聖心で読まれる「葡萄の木のたとえ話」(ヨハネによる福音書15章)がモチーフになっています。たとえ話の中で、「葡萄の木につながって実をならせる葡萄の枝」は、「神様につながって生きる人」の象徴です。そのように生きる人は、「わたしが愛したように、互いに愛し合いなさい」(ヨハネ15:12)というキリストの掟を心に刻み、「愛において成長」していきます。その具体的な姿は、同じく創立者の祝日に読まれるコロサイの信徒への手紙3章(12-17)の中に、見ることができます。
(前略)あなたがたは(中略)憐みの心、慈愛、謙遜、柔和、寛容を身につけな
さい。互いに忍び合い、責めるべきことがあっても、赦し合いなさい。(中略)
これらすべてに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、すべてを完成させるきずな
です。また、キリストの平和があなたがたの心を支配するようにしなさい。この
平和にあずからせるために、あなたがたは招かれて一つの体となったのです。い
つも感謝していなさい。キリストの言葉が、あなたがたのうちに豊かに宿るよう
にしなさい。(後略)
今年は特に、日々の祈り、内省を大切にし、キリストに根ざした内的な豊かさを育てていくよう心掛けましょう。そして、先生方、保護者の方々とご一緒に”Be Elegant”を意識して生活し、その意味を学院全体で深めてまいりましょう。
私たちの創立者聖マグダレナ・ソフィア・バラの取り成しのもとに。アーメン。