校長室から
2013年06月
2013.06.24
第6回 中高別朝礼の話(2013年6月24日、25日)
おはようございます。先週、お手紙と共に、動物を折った折り紙が修道院に届きました。これは今月初めに亡くなられた裾野の安全タクシーの社長さんが折られたものです。不二聖心と地域とのつながりを語るストーリーの一つなのですが、「安全タクシー」と名付けたのはシスターグテレスという方です。彼女はポルトガル人で、1952年の不二聖心創立時からここにいらっしゃいました。白地に赤のラインという車体の色も決められたそうです。タクシーの上に会社のマークがのっていますね。真ん中に「安全」と書かれた両端には、「く」の字を斜めにしたような線が3本あります。これは、何だと思いますか?「天使の羽」のをイメージしたものなのだそうです。きっと「天使に守られて、安全に運転ができるように」というシスターの願いが込められていたのでしょう。
不二聖心はロケーションから考えても、様々な移動手段が必要です。家族に送ってくださっている方、スクールバス、電車、そしてタクシーなど、多くの方の力で私たちは運ばれて今日もここに集まりました。後ろの先生方は、「いや、自分で運転してきた」と思っていらっしゃるかもしれません。
でも、本当にそれだけでしょうか?私たちもまた、見えない天使の羽に守られているのだと思います。それはご家族の思いであったり、先生方の思い出あったり、安全運転を心掛けているドライバーの方の思いであったり、何より天使を遣わしてくださっている神様の力に守られているのだと思います。見えるものの背後にある、見えないものを感じ取っていきましょう。
皆さんの中に、「家族だから送ってくれて当然」とか、「お金を払っているんだから運転してくれて当然」というような思いに留まっている方はいらっしゃらないと思います。ただ世の中には案外そのような合理的な考え方が強いのです。お互いに「当然」を主張し出したら大変なことになります。「それはしてくれて当然でしょう」の連鎖ではなく、「してくださってありがとう」という連鎖を一人ひとりが広げていく学院であり続けましょう。
2013.06.18
第5回 中高別朝礼の話(2013年6月17日、18日)
おはようございます。お久しぶりですね。先週一週間、茨城県のつくば市にある研修センターで勉強してきました。参加者は全員校長先生方だったのですが、隙間のない授業、そして宿題に追われる毎日で、「生徒の気持ちがよくわかりますね」と口々に言っていました。今も事後のレポート作成に追われていていますが、新しいことを学ぶと、自分が自由になるものだとつくづく感じています。中間テストを終えて、皆さんも同じように感じている人がいらっしゃるのではないでしょうか?先月、創立者の祝日の記念にお配りした御絵の中に書かれていた「真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネによる福音書8章32節)というみことばを今一度思い起してみましょう。
さて、一昨日は聖心女子大学で、姉妹校や同窓会が集まって、「東日本大震災復興支援チャリティ・デー」が開かれました。この中で参加された方はありますか?手を挙げてください。私は地区会が行けなかったのですが、同窓会会長様が、メールで当日の様子を送ってくださいました。参加者の溌剌とした表情を見て、Face Bookでもないのに、思わず「いいね」を押したくなりました。このチャリティ・デーのスローガンは、「東北を忘れない、これからもずっと」というものでした。今夏、SOFISは不二聖心が主催校で、姉妹校の方々と共に被災地を訪れることを計画しています。学校全体でこの「忘れない」という思いを共有し、温情の会の活動等を通して被災地との継続的なかかわりを続けていきましょう。
このスローガンを目にした時、私は3・11の時に、宮城県仙台市で被災した友人が送ってくれた手紙に引用されたことばを思い出しました。
本当に美しいのは
静かな持続する意志に支えられた
力まず、目立たず、おのれを頼まず
速効を求めず、粘り強く、無私な行為
(『木を受けた人』あとがきより)
入り口の黒板にはっておきますから目を通してください。
勉強や仕事、創作や課題解決など、多くの場面で示唆を与えてくれることばだと思います。皆さんが、「静かな持続する意志に支えられ」て行為し続けたいものは何ですか?それは「無私だから」こそ「静かに持続する」といえるのではないでしょうか?
このような意志をもって生活できたら、人は、たとえ大変な中にあっても幸福なのではないかと思います。「静かな持続する意志に支えられた無私な行為」を通して辿りつきたいもの、またその態度を大切にしていきましょう。
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